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血液検査では肝機能の低下や、場合により貧血もチェック

血圧測定にドキドキは禁物!

特定健康診査(メタボ健診)初体験の、40歳、主婦の協子さん。血液検査の採血が終わって、次の検査に呼ばれるまでひと休み中です。
その間に、前回(「採血は苦手だけど、血液検査は大事よね」)に引き続き、血液検査でわかることを確認していきましょう。

検査の合間に、ちょっとひと息

血液検査のための採血を終えた協子さんは、注射跡を押さえて血が止まるのを待ちながら、ホッと息をつきました。

『そろそろ血も止まったようだわ。思ったより採血も痛くなかったし、これなら検査を怖がって避けたりしなくても大丈夫ね』

以前より増えていた体重や、高くなっていた血圧のことを考えると、血液検査の結果も楽観はできません。

『血液検査では肝機能も調べるみたいだけど、私はお酒をほとんど飲まないから問題ないかな……』

検査結果は気になりますが、苦手な採血をクリアしたので、協子さんはずいぶんと気が楽になりました。次の検査に向けて、少し気持ちに余裕ができてきたようです。

気づきにくい肝機能の低下を血液検査でチェック

特定健康診査で行われる血液検査には、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の判定の目安となる血糖や血中脂質のほかにも、肝機能を調べる項目があります。
肝臓は、「アルコールや薬などの有害物質の解毒」「摂取した栄養素からの合成と貯蔵」「胆汁の生成・分泌」など大変重要な働きを担っています。しかし、肝臓は優れた再生能力をもっているため、肝機能がかなり低下するまで異常に気づきにくく、「沈黙の臓器」と呼ばれています。

「お酒の飲み過ぎは、肝臓に悪い」ということは、よく知られています。しかし、「お酒を飲まない人は大丈夫」というわけではありません。
健診では、肝臓に余分な脂肪がたまった脂肪肝が多く見つかります。脂肪肝の原因としてお酒の飲み過ぎが挙げられますが、実は食べ過ぎによる脂肪肝のほうが多くみられます。お酒を飲まない人でも、食べ過ぎ、特に糖分の取りすぎや運動不足、肥満や糖尿病などがある人は肝臓に脂肪がたまりやすいので注意が必要です。メタボリックシンドロームともとても深い関係があります。

脂肪肝を放置すると、肝炎から肝硬変や肝がんへ進行する恐れがあります。保健指導判定値を超えている人は、生活習慣の改善をしましょう。

   検査項目   保健指導判定値   受診勧奨判定値 
肝機能  AST(GOT)  31U/L以上  51U/L以上
 ALT(GPT)  31U/L以上  51U/L以上
 γ-GT(γ-GTP)  51U/L以上  100U/L以上

【AST(GOT)、ALT(GPT)】
さまざまな臓器や組織の細胞に含まれている酵素で、なかでも肝臓に多く含まれています。
肝炎や脂肪肝、肝硬変などにより肝細胞が破壊されると、血液中に酵素が漏れ出すため、肝機能や病気の有無の指標となります。

【γ-GT(γ-GTP)】
肝臓の解毒の働きにかかわっている酵素で、特にアルコールに敏感に反応します。肝臓や胆道系に障害がある場合や、アルコールの飲み過ぎなどで数値が高くなります。

 

津下 一代 先生

監修者 津下 一代 先生 (あいち健康の森健康科学総合センター センター長兼 あいち介護予防支援センター センター長)
昭和58年名古屋大学医学部医学科卒業後、国立名古屋病院内科(内分泌代謝科)、名古屋大学第一内科での臨床・研究活動を経て、平成4年愛知県総合保健センターに勤務。12年あいち健康の森健康科学総合センター、22年より同あいち介護予防支援センター センター長兼務、23年より現職。
厚生労働省における「健康日本21」、「健診・保健指導プログラム」の各委員会や日本健康会議に携わる。