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たばこを吸わなくても、肺がん検診は受けましょう

たばこを吸わなくても、肺がん検診は受けましょう

 

主婦の協子さんは今年40歳になったことで、特定健康診査(メタボ健診)のほかに、いくつかのがん検診の対象となりました。自分の健康についていろいろ気になる年齢でもあり、初めてのがん検診を受診中です。次は、肺がん検診に向かいます。

50歳未満でたばこを吸わない人は、基本的には胸部X線検査のみ受ける

特定健診の検査に続いて、乳がん検診、子宮頸がん検診と順調にこなしてきた協子さんですが、残る検査はあとわずか。次に案内されて向かったのは、肺がん検診です。

『夫は喫煙者だけど、私はたばこを吸わないから、肺がんの心配はしなくてもいいのかしら?』

まずは、検診前の問診で年齢と喫煙習慣の有無、過去の検診歴のチェックなどが行われます。

「本人がたばこを吸わなくても、家族や周囲にたばこを吸う人がいると受動喫煙で体に害がありますから、今後も検診を受けてくださいね」

「そうなんですか!?」

肺がんの最大のリスク要因は喫煙で、たばこを吸わない人でも受動喫煙によって肺がんのリスクが高まることがわかっています。肺がんには、肺の末端部分に発生する「肺野型」と、肺の入口の太い気管支に発生する「肺門型」の2つのタイプがあります。なかでも肺門型のがんは、喫煙との関連が大きいとされています。

検査を担当する技師さんに説明されて、協子さんは急に不安になってきました。自分にはあまり関係ないかと思っていた肺がん検診ですが、あらためて大切さを実感します。

『夫の体はもちろんだけど、私の体のためにも夫には禁煙をすすめなきゃ!』

自治体などによる肺がん検診は、40歳以上を対象として1年に1回、胸部X線検査と喀痰(かくたん)検査が行われます。一般に、喀痰検査は50歳以上で、喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上の人が対象となりますが、実施条件が異なることがありますので確認してください。

胸部X線検査は、撮影した肺の画像から異常がないかを調べる検査で、とくに肺野型の肺がんの発見に有効です。喫煙本数が多い人が対象となる喀痰検査は、胸部X線検査と併せて行われます。これは採取した痰に含まれる細胞を調べる検査で、肺門型の肺がんの発見に有効です。

協子さんは40歳でたばこも吸わないので、今回の肺がん検診で受けるのは胸部X線検査のみでした。

 

胸部X線検査は痛みもなく、短時間で終了

問診を終えて検査室に入ると、協子さんの目の前には、四角い板のようなものが取り付けられた、背の高さほどの柱が立っています。

「では、これから肺がん検診として、胸のX線写真を撮りますね。検査着をはおったままでいいので、前を開いて機械の前に立ってください」

『なんだか薄い機械だけど、前にひどいかぜをひいたときに病院で受けた検査と同じものかしら?』

「では、この面を抱き込むようにして、胸をぴったりつけてください」

言われたとおりに機械に胸をつけると、技師さんが姿勢を直して次の指示を出します。

「そのまま大きく息を吸ったら息を止めて、少しがまんしてください……はい、終了です」

『ふう~これで終わり? なんだか、あっけない感じだわ。ぜんぜん痛くも苦しくもないし、すぐに終わるから楽な検査ね』

子宮頸がん検診で少し緊張を味わったせいか、ずいぶんと簡単に終わってしまったように感じます。協子さんはすたすたと検査室を出ると、すでに慣れたように次の検査に向けて待合室でくつろぐのでした。

 

津下 一代 先生

監修者 津下 一代 先生 (あいち健康の森健康科学総合センター センター長兼 あいち介護予防支援センター センター長)
昭和58年名古屋大学医学部医学科卒業後、国立名古屋病院内科(内分泌代謝科)、名古屋大学第一内科での臨床・研究活動を経て、平成4年愛知県総合保健センターに勤務。12年あいち健康の森健康科学総合センター、22年より同あいち介護予防支援センター センター長兼務、23年より現職。
厚生労働省における「健康日本21」、「健診・保健指導プログラム」の各委員会や日本健康会議に携わる。