文字サイズ

スギ花粉症の「舌下免疫療法」を始めるなら秋から

スギ花粉症の「舌下免疫療法」を始めるなら秋から

花粉症の根治が期待される免疫療法に新しい選択肢

 スギ花粉症の新しい治療「舌下免疫療法」で使われる舌下薬が昨年(2014年)10月に保険適用となってから、まもなく1年を迎えます。
 スギ花粉症の治療といえば、マスクなどで花粉にできるだけ触れないようにするセルフケアや、抗ヒスタミン薬などで症状を抑える対症療法が一般的ですが、根治の可能性も期待されるのが免疫療法(減感作療法)。その免疫療法に新たに加わったのが「舌下免疫療法」です。

 免疫療法はアレルゲン(アレルギーの原因物質)を少量から投与して体を慣らし、アレルギー症状を和らげたり起こりにくくする治療法。花粉症治療では、これまで注射による皮下免疫療法が行われてきましたが、注射の痛みや注射のための通院など患者さんの負担が大きく、まれではあるもののアナフィラキシーショック(急激なアレルギー反応)を起こすことがあるため、あまり普及していませんでした。
 一方舌下免疫療法は、スギ花粉エキスを含む液状の薬を舌の下にたらし、2分おいて飲み込むことを1日1回行います。皮下免疫療法と比べると注射による痛みがなく、自宅で行えるため通院の回数も少なくてすみます。
 この治療はすべての人に効果が期待できるわけではありませんが、昨年10月から今年1月までに治療を始めた患者さんを対象とするアンケート調査では、約8割の人が症状が改善したと答えています。

治療を始めるなら11月ごろまでに

 舌下免疫療法の副作用は、皮下免疫療法よりは少なく程度も軽いとされています。多くみられるのは舌やくちびるのかゆみや腫れ、のどの違和感などですが、非常にまれとはいわれるものの、アナフィラキシーショックを起こす可能性もあります。
 特にスギ花粉の飛散シーズン(1~5月)は、体がアレルギー反応を起こしやすく強い副作用を起こす危険があるため、この時期に治療を始めることはできません。また、治療の効果は通常2~3カ月で出始めるといわれます。例年2月頃から症状が出る人は、逆算して前年の10~11月ごろまでに治療を始めるのがよいでしょう。

 ところでスギ花粉エキスによる舌下免疫療法は、あくまでスギ花粉症を治療するものです。ほかの花粉症は対象になりませんので、治療前にはスギ花粉症かどうかの検査が必要です。また、スギ花粉症のほかにダニやブタクサなどのアレルギーをもっている人は、複数のアレルゲンに対するエキスを同時に注射できる皮下免疫療法のほうがむいているといえるでしょう。

患者にも治療法に対する理解と根気が必要

 舌下免疫療法は2~5年の長期にわたり治療を続けることが望ましいとされています。また、薬を処方してもらうため1カ月に1回程度の通院が必要です(新薬のため発売から1年間[9月末日まで]は2週間に1回)。薬は毎日服用し、副作用を避けるために決められた服用量を守ることが大切です。
 治療を受けるには、病気や治療法を十分理解するとともに、根気よく続けられるかどうかよく考える必要があるでしょう。

 なお、舌下免疫療法はどこでも受けられるわけではありません。治療法の講習を受けて登録された医師だけが薬を処方することができるので、治療を受けたい人はあらかじめ確認してから受診してください。


その他の記事はこちらから