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第6回 水崎綾女さん

第6回 水崎綾女さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、女優の水崎綾女さんです。
水  崎
よろしくお願いします。
住  吉
水崎さんは、2004年に芸能界デビューし、映画や舞台で活躍されています。映画『進撃の巨人』『彼岸島 デラックス』でも話題を集めました。
そして、5/27公開、河瀬直美監督の最新作『光』でヒロインを演じます。この作品、一足先に観させていただいたのですが…すごく良かった! さすが河瀬監督の世界で、思いもよらないストーリー、思いもよらないことを感じる1時間40分でした。
まずは、水崎さんの演じる女性の役どころをお話しいただけますか?
水  崎
私は視覚障害者に向けた映画の音声ガイドを作っている“ディスクライバー”という職業をやっている女の子の役で、主演の永瀬正敏さんは目がどんどん見えなくなっていくカメラマンの役なんですが、その2人が出会ってお互いに影響しあっていく、というお話です。
住  吉
映画に音声ガイドを添えていく“ディスクライバー”というお仕事が実際にあるんですね。
水  崎
そうなんですよ。今、映画界でもだんだん音声ガイドが増えていて、視覚障害者の方も観られる映画がたくさん増えてきているのは素敵なことだなと思います。
住  吉
水崎さん演じる美佐子自身も、親との関係など自分の中に色々な葛藤を抱えていて、ご自分の中で答えが出ないという状況で、永瀬さん演じるカメラマンの中森と出会って、交流してお互いに変わっていく、というお話ですが、視力を失うというのはどういうことでどんなに辛いことか、そこに迫るべく河瀬監督が映像で表現されていますね。
水  崎
本当に映画らしい映画ですよね。じっくり考えさせられるというか。観終わった後に席でじーんと考えてしまう映画かなと。
住  吉
すごく心に残る、忘れられなくなる映画だなと感じましたし、視覚障害だけでなく、人生や生きること、周りにいる人についても色々と考えさせてくれる映画だと思いました。河瀬監督の、心に残る世界をつくるための世界づくりが徹底している、ということを出演した方から伺っているのですが、今回河瀬監督の映画は初めてですよね? どうでしたか?
水  崎
オーディションで受かったんですけど、すごく大変でしたね。でも、役者としてありがたい現場というか。全部順撮りで、役で住んでいるマンションにクランクインの前から住むことができて、その場に行ってお仕事をしたり、生活をしたりする中で、“役に生きる”ということを教えられましたね。監督は“役作り”と言わないんですよ。“役を積む”と言って、役を作らないんです。その世界に生きて、それを外から撮っているという感じですね。
住  吉
映画のために本当のマンションを借りているということですよね?
水  崎
そうです。本当に賃貸物件を借りて。
住  吉
場所は奈良ですよね? 撮影のどのくらい前から住んでいたんですか?
水  崎
撮影の1週間前から住んで、撮影が1ヶ月だったので、1ヶ月ちょっと住んでいました。
住  吉
撮影のセットになるその部屋に、撮影が終わった後もお1人で居て、生活を…?
水  崎
そうです。
住  吉
不思議な感じですね。今までご自身がやってきた役作りとは違う体験でしたか?
水  崎
そうですね。スッと役に入っていけたなと思いました。普段からあまり役作りというものはしないタイプなんですけど、特に今回の現場は、そういう意味の苦労はいらないというか。台本も1週間もらっていなかったり、その場で感じたことを言葉にするという感じだったので、難しいんですけど、役者としてはありがたい現場でした。
住  吉
実際にディスクライバーというお仕事をして、視覚障害者の方々にモニターしてもらって、ダメ出しを受けたりするシーンもあって…そのあたりはすごくリアルでした。私も今、言葉を生業としていて、特にラジオだと声で伝えるという仕事なので、そういう意味でもすごく考えさせられました。映画の中で、俳優さんじゃない本当の視覚障害者の方も参加していらっしゃいましたよね?
水  崎
そうなんですよ。その方の言葉が本当に心に刺さってきて。傷つけられているわけではないんですけど、自分が作った音声ガイドなので…。
住  吉
実際に、映画の音声ガイドをディスクライバーの美佐子としてご自身で書いたそうですね。
水  崎
そうなんです。映画の中に出てくる映画作品の音声ガイドは全部自分で作っています。
住  吉
それが実際にダメ出しを受けるという…。
水  崎
そうなんです…。本当に悔しくて。もっと想像力を掻き立てられるような言葉をチョイスしないと…と思って、毎回辞書を開いて、どの言葉がこの映画の雰囲気を壊さないかというのを毎日毎日考えていました。
住  吉
場合によっては“(映画を)台無しにする”と言われたりもするんですけど、私にもそれが刺さったし、他人の気持ちを想像することの難しさについても考えさせられる映画ですよね。
水  崎
人によって感性が違うので、1人の人がダメと言っても、もう1人の人はそれが良いという場合もあるので、どこに合わせるかというのが難しくて。でも印象的だったのが、目が見えていると映画を平面でしか観ないじゃないですか。感情移入したとしても、共感するというぐらいだと思うんですけど、視覚障害者の方は、映画の中に入ってしまうんですって。全然世界が違うんだなと。だから余計に私の言葉で傷つけてしまったり、台無しにしてしまうので、そのへんはすごく気を遣いました。