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第22回 河盛隆造さん

第22回 河盛隆造さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、順天堂大学名誉教授の河盛隆造さんです。
今日のテーマは、ずばり「糖尿病」。日本の糖尿病患者は、1000万人を超えると言われていて、若い方は関係ないと思っているかもしれませんが、そんなことはないんですよね。
河  盛
そうです。糖尿病といったら、中年の太ったメタボの方がなる病気で、若い方は関係ないと考えておられるかもしれませんが、若い男性や女性も知らない間に糖尿病になっている方が多く見つかっています。ぜひ関心を持っていただきたいですね。
住  吉
ということで、まず基本からなのですが、糖尿病とはどんな病気でしょうか?
河  盛
糖尿病というのは、非常に多く誤解されています。健康診断で必ず血糖値を測りますが、血糖値というのは血液中のブドウ糖の濃度のことを言います。血糖値が高いということで、糖尿病と診断されるのですが、ブドウ糖が多すぎるのが悪いんだということで、最近はそのモトになる炭水化物をやめよう、糖質を減らそうという風潮があるんです。
住  吉
糖質制限ダイエットも流行っていますよね。
河  盛
その通りです。でも、それは実はとても危険なんです。住吉さんは、今この1時間で何グラムのブドウ糖がエネルギー源として使われていると思いますか?
住  吉
そもそもご飯やパンにどのぐらいのブドウ糖が含まれているのかわからないんですが…ご飯1杯にはどのぐらい含まれているんですか?
河  盛
ご飯1杯だと40グラムほどのブドウ糖があります。
住  吉
じゃあ、1時間に20グラムくらい?
河  盛
1時間に20グラムずつ使うと、24時間で約500グラムですね。ほぼ正解!
住  吉
おぉー!
河  盛
寝ている間に、脳は昼間に起こったことを全部コンピューターのように整理しています。だから寝ている間も、脳は必死でブドウ糖を使っているんです。ブドウ糖しか使えません。そして、打ち続けている心臓の筋肉や、呼吸している筋肉も、当然ブドウ糖を使っています。普通の人であれば、寝ている間も1時間に10グラム、起きてからも非常に多くのブドウ糖を使うんですね。身体を動かす程度によりますけれども、1日最低300グラム、多い方では700グラムのブドウ糖を毎日使っています。それを、お食事の炭水化物として補わないといけないんです。
住  吉
だから、糖質を制限し続けると危険ということですね。
河  盛
危険です。どのような危険なことが起こっているかは後でお話しいたしますが、それほどのブドウ糖を上手く使っているんですね。血糖値が高いということは、血液中にブドウ糖がだぶついているんです。だから、脳や筋肉はブドウ糖を使うことができていない。脳の中はブドウ糖が足りない。だから、長年糖尿病の状態が良くなかった方は、そうでない方に比べて、20年も早く認知症が出てくるんです。
住  吉
血液の中にブドウ糖があるのに、脳で使えないんですか?
河  盛
はい。そのブドウ糖を全身の細胞で上手く使わせているのが、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンなんです。そもそも、暴飲暴食をしても、誰も糖尿病にならないですよね? ブドウ糖をあんなにとっているのに、脂をあんなにとっているのに、血糖値はいつも見事にコントロールされている。これをつかさどっているのは、インスリンというホルモンです。例えば、美味しいお食事を見るだけで、何も食べていないのにすい臓からインスリンが出てくるんですよ。
住  吉
唾液が出てくるのと同じ感じでインスリンも出てくる?
河  盛
そうです。唾液が出るのもそのせいで、脳の調子がコントロールしています。そのように、美味しいものを見た、今からこれが入ってくると思っただけで、脳からの指令ですい臓はインスリンを出し始める。そして、すい臓から出たインスリンは肝臓に流れ込む。食事をとると、ブドウ糖とインスリンが肝臓にぶち当たって、肝臓はインスリンの働きでそのブドウ糖を取り込みます。だから、食後も高血糖にならない。ところが最近の若い方は、スマホを見ながらラーメンを一気に食べる。インスリンが出る前に、食べ物をたくさん食べたりしているので、血糖値が上がりやすくなってしまうんです。ですから食べるときは、その食べ物を十分見て、ゆっくり徐々に召し上がることが糖尿病の予防には非常に大事なんです。このように、インスリンがブドウ糖を見事に処理している間は、どなたも糖尿病にならない。ところが、よくあるのは過食ですね。それから、運動不足。そうすると、肝臓には余分なエネルギーが脂肪として溜まる。いわゆる“脂肪肝”という状態になる。あるいは、筋肉にも脂肪が溜まって“脂肪筋”になる。すると、インスリンが肝臓や筋肉に上手く働かなくなる。脳にも働かなくなる。すると、ブドウ糖を取り込むことができなくなる。それでも相変わらず暴飲暴食を続けると、血液中にブドウ糖がだぶついてしまうんですね。そして、そういう状態が続くと、糖尿病と診断されてしまう。
住  吉
ということは、「運動しない」「過食」「スマホを見ながら食事をする」という方は糖尿病になりうると。
河  盛
そうですね。だから「生活習慣病」とよく言われますように、過食などで体重が増加してしまっている。あるいは、筋肉が猛烈にブドウ糖を使わないといけないのに、運動不足のために筋量が落ちてきてしまっている。そういう方々が糖尿病となるんです。でも、日本という国では健診が見事になされていますから、「去年までは糖尿病じゃなかったけど、今年の健診で初めて糖尿病だと言われた。この1年間に何があったんだろう。デスクワークが増えたのか?」ということもあるんです。だから、すぐに生活を見直して、1年前の糖尿病じゃなかった状態にすぐ戻るべきなんです。