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第29回 黒井克昌さん

第29回 黒井克昌さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、「乳がん」のスペシャリスト、東京都保健医療公社 荏原病院院長の黒井克昌さんです。
黒  井
おはようございます。
住  吉
Blue Oceanでは、これまで女性の健康と身体を何度かクローズアップしてきて、女性特有のがんにも注目してきましたが、今日のテーマは、ずばり「乳がん」です。まず、乳がんの基礎知識から伺っていきたいと思いますが、「乳がん」とはどんな病気でしょうか?
黒  井
乳がんは、乳腺にできるがんです。女性のみでなく、男性にもできるという点には注意がいります。がん細胞は遺伝子の異常でできますが、そのがん細胞はどんどん数を増やし、次第にしこりを作って発見されます。乳がんの場合は発見されるまでに十数年かかると言われています。
住  吉
乳がんの原因や、乳がんになりやすい人はわかっているのでしょうか?
黒  井
乳がんの場合は、飲酒、喫煙、閉経後の運動不足、被ばく、閉経後の肥満、初潮が早い、閉経が遅い、出産経験がない、出産年齢が高い、授乳経験がないか、あっても短い、乳がんの家族歴や既往歴がある、などがあります。これらは、女性ホルモンの一つである、エストロゲンに関連するものが多く含まれています。
住  吉
家族に既往歴があるというのは、遺伝という要因ですか?
黒  井
そうですね。2つあって、1つは同じ生活環境で長く一緒に過ごしているということで、環境の影響も当然あります。環境の影響では、食生活など生活が西洋化していますので、肉食が増えたり、そういったことも要因の1つになっていると考えられています。
住  吉
遺伝はするものなのでしょうか?
黒  井
一部の乳がんは遺伝が関与すると言われています。5~10%ぐらいは何らかの形で遺伝が関与しているだろうと考えられています。
住  吉
“一部の”ということですが、どういうものは遺伝して、どういうものは遺伝しない、というところまでわかっているのでしょうか?
黒  井
そういった遺伝に関わる遺伝子はたくさんあると考えられていますけれども、現在、その一部は臨床のレベルで検査することが可能になっています。
住  吉
では、遺伝によってかかる方とそうじゃない方がいるということですね。近年、30~40代の芸能人の方の闘病も注目を集めていますけれども、気をつけるべき年齢はあるのでしょうか?
黒  井
乳がんの場合、一番頻度が多いのは40~50代、60代前半、というところですが、20歳を過ぎると徐々に増えてきます。
住  吉
かかってしまうと、どんな症状が現れるのでしょうか?
黒  井
基本的には無症状なんですけれども、見つかるとすれば乳腺のしこりや、乳首から分泌液が出る、特に血液の赤い色や茶色い色のついたものが出る場合には要注意です。
住  吉
症状がそのぐらい現れた時にはかなり進んでいるということなのでしょうか?
黒  井
そこにたどり着くまで、がんの発育から見ると平均十数年かかるだろうということで、かなり時間が経ってから診断、治療しているということになります。
住  吉
では、症状が出る前に検査などで早期発見しておくことがとても大事になりますね。乳がんというと、「転移」「再発」という言葉もよく聞かれますが…。
黒  井
まず「転移」というのは、乳がんの場合、乳腺にできたがん細胞がしこりを作っていくという段階の中で、そこからがん細胞が他の場所に飛んでいくという現象を示しています。リンパ管の中に入ってリンパ節に飛んでいく、あるいは血管の中に入って、骨や肺、肝臓などといった他の場所に飛んでいくという現象です。
「再発」というのは、今の転移も含みますが、手術した後、手術した場所にまた同じがん細胞がしこりを作るという現象です。
住  吉
乳がんが転移していくと、違う身体の部位に行くわけですが、例えば肺に行って肺がんになってしまうわけではなく、乳がんが肺に転移したという、別のがんになるわけですよね?
黒  井
元々乳腺にできた乳がんが肺に転移してしこりを作っていく、それは大きく言えば肺がんの1つですが、肺に元々ある細胞からできたがんと、元々は乳がんであるというものでは、意味が違います。原発性肺がんという、肺の組織からできたがんは、肺がんの治療をするわけですが、乳がんの細胞から飛んできた場合には、転移性肺がんということで、乳がんの治療をします。この見極めが極めて大事になってきます。
住  吉
がんの種類が変わってくるために、治療法など、例えば薬物も使用するものが変わってくる?
黒  井
変わってきます。