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第39回 河内文雄さん

39回 河内文雄さん

住  吉
そうなんですか…。治療法はどのようなものなんですか?
河  内
治療法は色々あるんですが、残念ながら喘息と比べて、薬の効果はそんなに期待できる部分ではない。でも、使える薬はないわけではない。薬と並行して結構有効なのが、リハビリを行うことですね。自分の身体に負担をかけないぐらいの範囲内で歩いていただく。そうすると、普段眠っている肺の予備力みたいなものが呼び覚まされて、頑張ってくれるんです。
住  吉
自分は吸わないから関係ないと思っている方もいると思うのですが、「受動喫煙」でも罹患する可能性がある病気なんですよね?
河  内
そうですね。自分で吸う煙を主流煙といって、空気中漂ってくる煙を副流煙というんですが、実際は副流煙の方が途中で酸化してくるので、肺にダメージを与えやすいんです。受診される患者さんの中で、自分は1回もタバコを吸ったことがない、自分の周りにも吸う人間は今いない、と。だけど、しっかりできてしまっている。そういう方に、「お父さんは吸っていらっしゃいましたか?」と聞くと、大体我々の年代以上だと男性の80%ぐらいは吸っていましたから、その質問自体はあまり意味がないんですが、「例えば狭い居間の中で、一緒に生活しているところで吸っていらっしゃいましたか?」と聞くと、「吸っていました」と。だから我々が、COPD、タバコ病を問題にする一つのそれが、貧困の再生産にあるという部分を感じるんです。ですから、個人の問題に帰結するのではなくて、社会として対応しなければいけないのではないかと。自己責任で済ませてはいけない問題なのではないかと。
住  吉
小さい時に実家で暮らしていた頃のことの影響が、時を経て、今症状として出てくるんですか?
河  内
それが進行性の疾患の怖いところでもあるんです。
住  吉
では小さい時から少しずつ進行していたと。
河  内
例えば、他の子と同じようにマラソンができなかったとか、風邪を引くと咳が長く続いたとか、小児喘息と言われたことがあるとか、それなりの症状が出ていた部分はありますね。
住  吉
そういう意味では、受動喫煙も社会として気をつけていかないといけないということですね。
河  内
子供は自分で逃げられませんからね。
住  吉
自分が吸っているという方の場合は、より煙に肺がさらされているわけですから、COPDに罹患する可能性も上がるのかなと思いますけれども、タバコは吸わない方が良いんだよなと思っていても、なかなか習慣化するとやめられないそうですよね。その中で、河内先生のおすすめの禁煙補助グッズがあると伺ったのですが?
河  内
そうですね。「禁煙薬」はよく聞きますよね。昔は、「ニコチンが原因なので、ニコチンを補えばタバコを吸うのをやめるのではないか」ということで開発されたお薬が、ガムやパッチがあったんですが、良くて40%ぐらいしか効果が出なかったんです。ということは、その残りは精神的な、例えばタバコをくわえてカチッと火をつけて人差し指と中指で挟んでプハーとやる、それによってホッとするというような、精神的依存ですね。それで、朝起きると今度は条件反射でタバコをくわえて吸っている、というところまでいってしまうんですけど、そういう精神的に依存する部分が大きいのであれば、ある程度そこを強制的に抑えてしまうようなものを作れないかと。例えば、人差し指と中指にちょうど入るぐらいの金属の輪っかのようなものがあって、それを8の字のようにくっつけ合わせて、それをはめると、タバコを挟みたくても挟めませんよね。その金属の輪は100円ぐらいで買えて、非常に安く作れますから、もし自分の子供が「お父さん、これ、自分で作ったんだけど、これを使ってタバコをやめてよ」と言われたら、ちょっと吸いにくくなりますよね。そういうようなことで、「タパコ」というものを提唱したんです。
住  吉
簡単に作れるものだけど、それに名前をつけたんですね。
河  内
はい。タパコ(の商標登録)を自分たちが取ったのは、自由に使ってもらうためなんです。禁煙運動というのは色々な問題がありまして、ちょっと禁煙運動に火がつくと、それに水をかけるような状況というのが結構出てくるんです。それならあらかじめ押さえておこうということで、商標登録で「タパコ」を取った。だから、我々が持っているから、どうぞ皆さん自由に使ってくださいと。
住  吉
しかも、タパコという名前で(そのグッズが)売っているわけではなくて、自分で…?
河  内
タパコというコンセプトです。
住  吉
なるほど。それで、作るのはそれぞれ自由な素材で作って良いし…。
河  内
そうです。ですから、住吉オリジナルを作っても構いません。
住  吉
ちなみにその中指と人差し指をリングで連結してしまうだけで、禁煙効果が上がるんですか?
河  内
それが、想いを込めるという部分が大きいんです。物理的というよりも、自分のために作ってくれたというところが結構大きいのではないかと思います。
住  吉
今日は、COPDのお話を伺いました。河内先生ももちろん健康診断は欠かさず受けていらっしゃいますか?
河  内
はい。
住  吉
最後に河内先生の「健康の秘密」を教えてください。
河  内
私の健康の秘密は“リハビリウォーク”です。COPDの治療の中にある、自分の歩ける範囲内を楽しく歩くというような、肺機能を持ち上げるためのリハビリウォーク。今ウォーキングブームですから、長い距離を歩く本というのはいくらでもあるんです。ところが、そういう少しハンデのある方が歩けるようなコースの紹介はあまりないんです。ですから、できたらそういうようなものを皆さんに紹介したいなと思って、皆さんを連れて歩くことがあります。それがものすごく気持ちいいんです。
住  吉
どのぐらいの距離を歩くんですか?
河  内
大体1km以内です。
住  吉
河内先生は、『一歩先のCOPDケア』というご著書も出されています。興味のある方はぜひチェックしてください。河内文雄さん、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。肺の生活習慣病と言われる「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」をご存知ですか? 別名「タバコ病」と呼ばれるほど、多くはタバコの煙が原因で起こります。咳が長く続いたり、息苦しさを感じる方は、早めに医療機関を受診してください。なお、協会けんぽが加入者ご本人向けに実施している生活習慣病予防健診に、肺機能検査をオプションで追加することができます。詳しくは健診機関へお問い合わせください。
1月4日(木)のゲストは、歌舞伎役者の中村米吉さんです。次回もどうぞお楽しみに!