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第41回 向井亜紀さん

第41回 向井亜紀さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、タレントの向井亜紀さんです。
向  井
よろしくお願いいたします。
住  吉
テレビ、ラジオ、講演など幅広く活動されていまして、子どものための体育教室を旦那さまの髙田延彦さんと共に展開して、子どもたちに身体を動かす楽しさを伝えています。そして、がんの闘病経験も持たれていて、2月4日には『がんとの共生社会を目指して』というシンポジウムにも参加されます。今日は、がんの経験とがんとの向き合い方、闘病を通して考えたことなどを伺います。最初にがんが見つかったのが…?
向  井
2000年ですね。
住  吉
妊娠がきっかけだったとか。
向  井
そうなんです。生理が止まって「やった! 赤ちゃんができた!」と喜び勇んで行った産婦人科で、赤ちゃんができていることも確かめられたんですけど、その時に「赤ちゃんのために、自分の未来のために、まずはこの検査から、ママとなる第一歩を歩み始めてください」と言われて、子宮頸がんの検査を受けて、そこでわかったんです。「難しいところまで進んでいるので、赤ちゃんを産めるというところまで行けるかどうか、しっかり検査を受けて、しっかり考えて、手術を選んでください」と言われたんです。
住  吉
喜び勇んでいたのに、すごくショックでしたよね。
向  井
そうですね。でも、こういうきっかけで子宮頸がんが見つかるという女性が意外と多くて。がんはすごく身近でもあるんですけど、がんという病気の怖さを考えると、「自分とは関係ないんじゃないか」「まだ後回しにできるんじゃないか」と遠ざけてしまって。私も、これだけガタイも良くて、お酒も強くて、ご飯も美味しくもりもり食べていたので、自分とがんはイメージ的に結びつかなくて、検査を後回しにしていたんです。
住  吉
それで、詳しく検査をして、手術をすることになったんですね。
向  井
そうなんです。赤ちゃんをどうにかお腹の中に残して手術をしたくて、がんの部分だけを削るような手術を1回して、取り切れなくて、赤ちゃんが出ないようにぎゅっと子宮口を縛って、もう1回削って、それでもやっぱり取れなくて。結局私の場合は、赤ちゃんが入っている子宮を大きくくり抜くような手術を3回目にしました。
住  吉
子宮を全摘出という…。
向  井
はい。あとは、そこから繋がっているリンパの通り道のリンパ節というところにも転移があるだろうということで、そこも取る手術をしました。それが2000年で、そこから一応復活したんですけれども、赤ちゃんを産めなかったということが心に大きくのしかかってしまって、精神的に落ち込む時間がありました。精神的に落ち込むと、身体が全然…。
住  吉
治っていかない?
向  井
そうなんです。前を向いてくれない。赤ちゃんを産めなくて、赤ちゃんの命を守れなくて、何で私はここで生きているんだ…と思うと、何もしたくなくなってしまう、という状態から、すごくたくさん後遺症が残ってしまったんです。その後遺症が、次のがん、次のがん、というようにがんを呼んだり、体調不良を呼んだり。精神的に復活できないと、がんと折り合いがつけられなくて…そういう時間が長かったです。
住  吉
手術は全部で14回くらい?
向  井
そうですね。
住  吉
本当に想像できないくらい大変だっただろうなと思いますが、心を乗り越えていくといいますか、そのためには旦那さまとはどんなコミュニケーションを取られましたか?
向  井
格闘技をやっていて強いイメージがあるじゃないですか。でも、すごく繊細なところがあって、「向井はすごいな…こんなにたくさん腕に針が刺さったまま、ずっとここに居るということが俺には信じられない。俺は殴られたり蹴られたりする、そういう打撃系の痛みには強いけど、こういうチクッとしたり、管がたくさん入っているような、こういう痛さには本当に弱いから、向井はすごいな…」と、まさかの下から支えるという(笑)。「俺だったら逃げちゃう」とか「俺だったら管を抜いちゃう」とか、そういう感じで毎日見舞いに来てくれて。私がすごくすねちゃって「もういいの、私は生きている価値がないから!」となっている時も、「これはすごいぞ」「俺にはできないことをやっているぞ」と、そう言ってずっと横にいてくれました。
住  吉
今考えると、すごく救いになったんじゃないですか?
向  井
すごく。「毎日何でこんなに差し入れを持ってくるの?」と。ケーキ25個とか、お団子山盛りとか、コロッケ山盛りとか、うつの状態になってご飯が食べられない時に、何でこんなに…と(笑)。ぷっと笑っちゃうようなことを真剣にやっている人を見て、救われたのかも…。上から「頑張れよ!」と言うのではなくて、「すごいな…」と。「昨日はケーキだったから、今日は団子を持ってきたよ」とか(笑)。