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第43回 大久保公裕さん

第43回 大久保公裕さん

住  吉
花粉症になってしまうと、一生付き合わなければいけないと思うのですが、治療も色々なものが出てきているようですね。最新の治療やメリットは、どんなものが出てきているのでしょうか?
大久保
治療となると、花粉を防御するという方法論、それから症状を抑えるための薬での治療、そしてアレルギーがあるということに対して、それに抵抗させる身体をつくるという免疫療法。この中で、免疫療法が最も新しい治療となっています。
住  吉
「どうして反応する人としない人がいるのかわからない」という中でも、身体の方を変えるというのは可能なんですか?
大久保
例えば、その方たちが今までどのぐらい花粉を吸ったかわからないのですが、抗体をつくるようになった。その抗体というのが、実際はアレルギーの抗体であって、別の抗体に変換できるんです。吸っているスギの花粉量であれば、IgEというアレルギーの抗体です。でも、それより多い量を入れると、今度はそのIgEをつくる細胞が、それだけではダメだとIgGという抗体をつくるようになる。それで免疫を変換させるという、免疫療法です。IgGというスギに対する抗体の方が増えてくれば、自然とIgEのバランスが低くなるので、アレルギー反応は起こりづらくなってくる、身体が変わってくるということです。
住  吉
そのIgGの抗体の方は、症状として悪さはしないんですか?
大久保
出ないです。ばい菌に対する抗体は、IgGがほとんどなんです。ですから、ばい菌やウイルスに対する抗体と同じような抗体をつくっていくということです。
住  吉
具体的にはどういう治療をするんですか?
大久保
今、最も新しいのが「舌下免疫療法」といって、舌の下から原因の物質をたくさん入れていくと、鼻と違いますから、そこでのアレルギー反応は多少口がかゆくなったり、腫れるだけなんです。そこから抗原というスギの花粉のエキスを入れていくと、喉はリンパ装置というのがたくさんあるので、そこで免疫反応を、IgGをつくる反応に変えていくという身体の仕組みです。原因の物質、今は液体ですが、それを舌の下に2分間置いておき、それから飲み込む。それを毎日2年間行うと、ほとんどの人の症状が平均で30%ぐらい取れている。すごく効いている人は、半分以下になっていく人もかなり多い治療です。この治療法は普通の薬の治療と違って、身体の体質を変えますから、やめた後も効果が持続するんです。それでまた花粉をたくさん吸ったりすると、また症状が起こる人もいますが、ずっとないままの人もいます。
住  吉
そういう意味では、この治療法は皆さんやりたいだろうと思うのですが、実際にやっているという人はまだあまり聞きませんね。
大久保
そうですね。これに関しては、やっている先生方もまだ限られていますし、アレルギーの原因の物質を身体に入れますから、決められた量を決められた間隔でしっかりとやっていただく、それはどうしてなのか、それを説明できる先生方にやっていただくということになっています。
住  吉
そうすると、治療が始まると基本的には自宅で、自分で舌の下にその液体を入れて…と。
大久保
はい。それで1ヶ月に1回、何か変わったことがなかったか、診察をして、また出すということになります。
住  吉
きっと花粉症になる人は、自然には減らない気がするのですが、治療法ももう少し増えていきそうでしょうか?
大久保
そうですね。こういった治療法がスギ花粉に対しては日本だけですが、国際的にはダニの治療であったり、喘息に関してもそうですし、他のイネ科の花粉症であったり、ブタクサの花粉症は海外ですでにこういった治療法も行われています。こういった免疫療法で、アレルギーを世界で克服できないかというところに今ポイントが絞られています。
住  吉
治療法もずいぶん進んでいるようですので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
すでに花粉症の方々は、治療法や対策になると思うのですが、例えばご家族でまだ花粉症になっていない人がいたり、お子さんが心配という方、そもそも花粉症にならないための予防策というのは?
大久保
親御さんが花粉症の場合はお子さんも花粉症になりやすいので、2~4月で少し寒い時には、花粉が飛んでいる日中はあまり外に出さないですとか、お父さんやお母さんが花粉症であればマスクやメガネをしますから、お子さんが少しおかしいなと思ったら、伊達メガネでもマスクでも良いので一緒にやろうというのも一つです。そうすると浴びる花粉が少なくなりますから、抗体があまりできなくなります。
住  吉
浴びる花粉をなるべく少なくするという、割とシンプルなことですが、そういうことが一番効果のある予防法なんですね。
大久保
そうですね。花粉症の人たちの人口密度を見ても、花粉がたくさん飛んでいる地域は有病率が高いということがわかっています。
住  吉
でも、東京は森に囲まれているわけでもないのに、花粉症になる方が多いというのは不思議ですね。
大久保
これはやはりアレルギーになりやすい体質の人たちが東京に集まっているというのと、もう一つはコンクリートジャングルですから、落ちた花粉が再飛散するということですね。田舎の方は、一度落ちた花粉は土に戻りますが、東京は舞うんです。
住  吉
なるほど。特にお子さんは地面に近いですから…。
大久保
そうですね。交通量が激しい時はどうしても落ちた花粉は舞っているんです。
住  吉
車によってまた巻き上げられて…。
大久保
そうです。花粉も生態ですから、山を飛び立つのは日が当たってからなんです。木は山にありますから、山に日が当たって初めて花粉が飛んでくる。もし静岡の木から花粉が飛んだら、朝6時に向こうを出発して、我々のところに来るのは朝10時ぐらいです。そうすると、10時~昼過ぎの3時ぐらいまで一番多くて、一度減って、また交通量が多くなる夜6時~7時ぐらいになるとまた増えていく、というのが東京の1日の中の花粉量の変化です。
住  吉
では、日中の皆さんが行動する時間帯は特に注意ということですね。
あと、「ジェネリック医薬品」という言葉をよく耳にすると思うのですが、何となくはわかっているけれど、きちんとわかっていないという方が結構多いと思います。改めて、ジェネリック医薬品について伺いたいのですが…。
大久保
ジェネリック医薬品自身は以前からある分野なのですが、全ての薬剤は、特許期間が切れると先発メーカーが作っていた構造式などのある程度の部分を公開しなければいけない。そうすると、ほぼ同じものが作れるんです。同じ成分が入っていることを承認されている薬剤です。先発品メーカーは開発費などで値段がある程度高くなっていますが、ジェネリック医薬品の場合は開発費などがありませんから、安くお薬を作って、安く患者さんに提供できるという薬剤なんです。
住  吉
では、我々は選択肢があるということなんですね。
大久保
そうです。そこにどういう信念性を持たせているかというと、厚生労働省や医薬品機構というところが全て監視をしていて、ある程度の効果が確実にありますということで承認を出しています。
住  吉
花粉症の治療のお薬でもこのジェネリック医薬品が出ているんですか?
大久保
そうです。CMで流れているようなお薬、スイッチOTCと言いますが、そういう薬剤についてはほぼ全てジェネリック医薬品が出ていると考えて良いと思います。
住  吉
花粉症の季節は、人によっては2~3ヶ月毎日飲まなくては生活に支障があるという方もいると思うので、そういう意味では錠剤の数や薬の量も多いですから、ジェネリック医薬品に切り替えるだけでずいぶん経済的負担も…。
大久保
そうですね。だいたい今のアレルギーの飲み薬は平均100円ぐらいですから、1ヶ月で3000円、3ヶ月で9000円ぐらいになります。ジェネリック医薬品の場合は、1つの期間でだいたい1500~2000円ぐらいになるので、患者さんにとっては優しい医療になります。
住  吉
今日は花粉症やお薬についても伺いましたが、大久保先生も健康診断は受けていらっしゃいますか?
大久保
毎年受けています。
住  吉
それでは最後に、大久保先生の「健康の秘密」を教えてください。
大久保
健康の秘密は“あらゆることに対する興味”だと思っています。あらゆることに興味を持つと、知りたくなれば勉強をする。例えば、外に行って何かを見に行きたい、と行動することになります。考えるにしても動くにしても、すべては行動に繋がるので、仕事以外で興味を持てれば、たくさんのところに行ったり、人間が衰えない、頭も回転する、身体も動かせる、ということで健康になれるんじゃないかなと思っています。
住  吉
色々なことに興味を持って、頭を働かせて、実際に身体を使って動き回る、ということをフルにしていくことが、健康への早道ということですね。大久保公裕さん、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。まもなく、スギやヒノキの花粉が飛ぶ季節になります。花粉症の備えは万全ですか? お薬を飲んでいる方は、ジェネリック医薬品を使ってみませんか? ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ有効成分を含み、効き目や安全性が同等であると国から認められたお薬です。数ヶ月、定期的な服用が必要になる花粉症のお薬も、ジェネリック医薬品に変えると、皆さんの医療費の節約に繋がります。協会けんぽ東京支部からのお知らせでした。
2月1日(木)のゲストは、料理研究家の白崎裕子さんです。次回もどうぞお楽しみに!