文字サイズ

第52回 門田守人さん

第52回 門田守人さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、大阪大学名誉教授で日本医学会会長の門田守人さんです。
門  田
よろしくお願いします。
住  吉
門田先生は、がん研究のスペシャリストで第一人者でいらっしゃいます。ということで今日は「がんと検診」について伺っていきます。「がん」は自分には関係ないものだと思いたい人が多いのではないかと思うのですが…。
門  田
思いたいのではなく、思っているんですよ。自分とは関係ないと。
住  吉
でも、今増えているんですよね?
門  田
すごく増えています。一般的には若い人よりも高齢者。高齢者が増えてくれば、当然がんが出てくる率も高くなる。そういった意味でどんどん増えています。
住  吉
平均すると、日本人の2人に1人は何らかのがんになると。
門  田
男性の方が多いんですが、一般的にはそのぐらいになります。
住  吉
高齢化以外に、がんが増えている理由はわかっているんですか?
門  田
がんは、遺伝子が傷つくことによって異常な分裂をする、ということから起きると言われています。最近わかっていることというと、なぜできるかというのは、傷つくから。傷つくのはどうしてかというと、傷つく原因がどこかにある。この世の中で生活していることがまさにそういう状況なんです。それか、歳をとると、増えてくるということにも繋がります。
住  吉
細胞が傷つく生活というのは具体的に…?
門  田
例えば、タバコを吸っている人が肺がんになりやすいとか。タバコは肺がんだけでなく、他のがんの率も高めます。あとは、ピロリ菌というものがあります。その菌に感染していると胃がんになる。他には、肝炎ウイルス、B型肝炎、C型肝炎というのがありますけれども、こういうものが原因となって、肝硬変、肝がんとなっていく。そのウイルス肝炎にならなければ、がんはほとんどできなくなる。あるいは、胃からピロリ菌を除菌してしまえば大丈夫、ということになります。そういうことで、増えてきているものは何か、減ってきているものは何かというと、最近は皆さんピロリ菌が見つかると薬を飲んで消すじゃないですか、そうすると胃がんは減っていきますよね。そして、B型肝炎やC型肝炎も、ワクチンをしたり、C型肝炎は良い薬ができてきていますけれども、そういうものができてくると、肝がんになることは減ってくる。ですから、胃がんと肝がんになる人は確実に減ってきていますよ。
住  吉
ひと昔前よりもずいぶん原因がはっきりしてきているがんもあると。
門  田
はい。ところが、今日本で特に問題になっていますけれども、子宮頸がんはヒトパピローマウイルスというウイルスの感染が原因だということがはっきりわかってきています。これを除去すればほぼかからない、ということもわかっている。だから全世界的には、ワクチンでこれにかからないようにする、という方向に行っています。ところが日本は、それをやりかけたんですけれども、副反応というものが起きるので、今ストップしているんです。そうするとどうなるかというと、増えてくるんですね。
住  吉
増えている中で、今度は「予防」という方にお話を進めていきたいのですが、予防も何段階かあるんですか?
門  田
予防には「1次予防」と「2次予防」があるんです。1次予防というのは、新たにがんができてくることを予防する。例えば、ピロリ菌をなくすことによって胃がんを予防する。これを1次予防と言います。2次予防というのは、一旦がんができたとしても、症状が出るより前に早期発見することによって、それ以上がんが進行することを予防する、という意味です。特に、今年から始まっていく第3期のがん対策推進基本計画というものの、第1の全体目標には、1次予防、2次予防をしっかりやる、ということが書かれています。
住  吉
今お話にあった、がん対策基本方針というのは、具体的にどのようなものなのでしょうか?
門  田
2007年にがん対策基本法というものが施行されたんです。その法律の中に、国はがん対策推進のための基本計画を5年単位で作っていくということが書かれてあるんです。ですから、2007年から第1期目、2012年から第2期目、2017年から第3期目と進んできているんです。