文字サイズ

第56回 上原淳さん

第56回 上原淳さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、川越救急クリニック院長の上原淳さんです。
上  原
よろしくお願いいたします。
住  吉
今日のキーワードは「救急医療と健康診断」です。上原先生によると、埼玉県は医療過疎地だということですが、これはどういうことなのでしょうか?
上  原
全国にお医者さんはたくさんいるんですが、人口に比例したお医者さんがどのぐらいいるかというデータが出ていて、もう10年ぐらい連続で埼玉県が最下位なんです。
住  吉
その理由はわかっているんですか?
上  原
人口が多いのと、昼間は東京に行きますけれども、夜は帰ってくるので、その時にお医者さんが足りないんです。
住  吉
では例えば、夜中に救急車を呼んだ時の受け入れも大変だったり?
上  原
かなり悪いですね。
住  吉
そんな中で、「川越救急クリニック」を2010年に開業されたということですが、こちらは日本初の「救急」に特化したクリニックだと伺いました。
上  原
はい。たまたま日本初だっただけです。
住  吉
確かに救急だけというのは聞いたことがなかったと思うのですが、それだけ上原先生は「救急だけのクリニックが必要だ」と感じてこられたということですか?
上  原
そうですね。その前、僕は大学病院の救命救急センターにいたんですが、重症者を扱うところに軽症者もみんな来るんですよ。「なんでこんなに軽症者が来るんだろう」と思ったら、軽症者の受け入れ先がすごく少なくて。このまま続けていると重症者を扱う病院に全部集中してしまって、お医者さんがみんな疲弊しちゃうなと思ったので、どこかで軽症者を受け入れるところを作らないといけないなと思ったんです。
住  吉
個人のER病院をつくるというのは、あまり聞かない気がするんですが…。
上  原
あまり聞かないですね。たぶん救急をやっている先生は、みんな一度は考えたことがあると思うんです。ただ、現実的にそれで採算が取れるかとなると、かなり厳しい数字が出てきてしまうので、皆さん踏み切るのをためらってしまう、という状況だったんだと思います。
住  吉
あと、二次救急をやろうと思われたということを聞いたのですが、「二次救急」というのは?
上  原
日本の救急システムというのが、軽症から「一次」「二次」「三次」で、三次が一番命にかかわる患者さんを扱うところなんです。僕がいたのはその三次救急だったんですけど、そこに一次の患者も二次の患者も来ていたんです。一次の患者は「お腹が痛い」「熱がある」などという患者さんなんですけど、その軽症の人たちをどこかで診ようと思ったので、一次と二次を扱う施設を立ち上げました。
住  吉
なるほど。二次はどの程度の症状なのでしょうか?
上  原
定義的には、入院して手術がときどき必要になる程度です。骨折や盲腸など、そういう人たちを扱うところです。
住  吉
今、全国でこういう救急に特化したクリニックはどのぐらいあるんですか?
上  原
僕が開業した後にできてきて、今は7ヶ所ぐらいあると思います。
住  吉
それでも7ヶ所しかないんですね。
上  原
はい。でも、着々と増えています。
住  吉
それだけ必要な地域が関東以外でも多いということですね。
上  原
ニーズはものすごく高いと思いますね。
住  吉
現在の診療体制は、救急ですから夜中も?
上  原
最初は僕1人で始めたので、夜だけでしかも金・土・日だけやっていたんですけど、もう1人先生が来られたので、今はその先生と2人で、夜だけですが1週間フルでやっています。外来を夕方4時から夜10時までやって、10時以降は救急を受けています。
住  吉
お二方のどちらかの先生が泊まり込みで?
上  原
はい。それで翌朝の9時までですね。
住  吉
他の病院が開くまでの時間、と。ちなみに、どんな方が来院することが多いですか?
上  原
圧倒的に多いのは風邪です。
住  吉
そうなんですね! 一次救急に入る方ですね。
上  原
そうです。特に、お子さんの熱や、外傷で、夕飯の支度をしていて指を切ってしまったとか、子供が机に頭をぶつけたとか、そういった軽症の人が多いです。
住  吉
そういう意味では、生死の境ということではなく、どなたでもいらっしゃることができると。地域にとっては心強い存在ですよね。救急クリニックというと、どうしてもドラマのイメージがありますが…ああいう感じの日々なのでしょうか?
上  原
あんなカッコイイケースはほとんどなくて…。
住  吉
印象に残っているケースというのは?
上  原
先ほど、ほとんどが軽症の患者と言いましたが、自分で歩いて来られる方でも重症の人が混ざっているんです。
住  吉
歩いてきて重症?
上  原
はい。先月来た方は、夜間にピンポンとやってきて、頭が痛いから診てほしいと。夕方、別の病院にかかって、頭痛薬をもらって飲んだんだけど治らないから検査をしてほしいと言われて。頭痛薬で治らない頭痛なので、頭の検査をしてCTなどを撮ったら、くも膜下出血でした。
住  吉
えっ! それなのに歩いて来られるぐらい意識があったんですか。
上  原
そういう人もいるんですよね。
住  吉
場所によるということですか?
上  原
そうですね。出血の仕方や場所によると思います。
住  吉
でも良かったですね。もう少し時期が遅れたら…。
上  原
そうですね。2、3ヶ月に1人はそういう方がいらっしゃいますね。
住  吉
そういう意味では、何事も油断できないというか、どんな方が来るかわからないということですよね。時には、専門外過ぎて手に負えなかったり、他の病院やドクターのヘルプをもらわないと無理な症例もあるんですか?
上  原
あります。
住  吉
そういう時は、夜中だとどうされるんですか?