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第62回 今井美樹さん

第62回 今井美樹さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、今井美樹さんです。
今  井
よろしくお願いします。
住  吉
今井美樹さんは、昨日20枚目のオリジナルアルバム『Sky』をリリースされたばかり。そして、日曜のお昼12時30分から放送中、TOKYO FM『LOVE UNITED』のパーソナリティとしてもお馴染みです。
昨日リリースされた『Sky』は、“PRIDEから20年”というキャッチフレーズも書かれていますが…。
今  井
毎回自分はその時その時でやっているので、あんまり「あれから何年経った」という感覚がなくて、スタッフに言われて「そうか!」と初めて気がついたという感じでした。でも、あっという間でしたね、この20年。『PRIDE』なんて、ついこの間のような気がします。
住  吉
驚いたのが、楽曲提供者などの制作に加わっている人たちがとにかく豪華で。プロデューサーは亀田誠治さんが一緒にやられていますが、これは、今暮らしていらっしゃるロンドンと行き来して作られたんですか?
今  井
制作は、去年の8月、日本に戻って来た時に2曲レコーディングをして、10月に亀田さんがロンドンに5日間来てくれて、ロンドンでのセッションを4曲終え、その後すぐに私が日本に戻って来て1週間いて、また12月に日本に戻ってきて最後全部やる。そして最後の最後の仕上げを彼がロンドンに来てくれて…。行き来しました。
住  吉
それこそ“Sky”を行き来して…。
今  井
そうです、そうです。
住  吉
そんな意味なんですか?
今  井
たまたまなんですけど、色々な“空”がある歌が揃ったというか。それはたぶん…私がそれぞれの方たちとSkypeで打合せしていたんです。初めて出会う方もいるし、最近の私を知っていただかないと、と。その時に私がたぶん「ロンドンでいつも空を見上げているのよね」という話をしていたんだと思います。それはロンドンの空が劇的に変化したり、本当に心に幸せをくれる、という意味もあれば、空を見上げることで胸にたまったおりみたいなものを吐き出すような。やっぱり私には空を見上げる必要があるんだよね、ということだったり、遠く離れた日本をいつも、この空が繋がっているという風に思うことで、大切な人を近くに感じたり、自分が1人だなと思っても、それでもどこかで繋がっているという想いに励まされたり…。色々なことを、気がついたら空と関わり合って話していることが多かったんですよね。そういうことを彼らはそれぞれがキャッチしてくださったんだと思います。ふたを開けてみたら本当に色々な空が入っていて、「空がいっぱい集まっちゃったね」という感じだったんです。
住  吉
曲も色々な方が楽曲提供されているとあって、かなりバラエティーに富んでいて。
今  井
そうなんですよ。極端なことを言うと、大好きな人たちに曲を書いていただいて、大好きな人たちの一番新しい曲があがった、という感じでデモテープを聴いていたので、その方が歌ってくれているデモテープが一番良い、これが一番好き! 私はこれをどうやって自分のものにすれば良いんだろう…と。カバーアルバムを作るのかと思うぐらい、そのアーティストそのアーティストの色が濃い作品が手元に集まったので、自分の色に揃えていくということが、実は自分の中でものすごく大変でした。だから、1つ1つに真正面からぶち当たっていくしかなかったです。自分を出すというようなことを考えて余裕を持って「これはこうよね、私は」ということじゃなくて、やれることをやるしかなかったので。でも私はその人たちのその感じが好きだったから、「そういう風にならないのよね、私が歌うと…。どうやったらこの曲が持っているこのムードが出せるのかな…」と。でもそこは、プロデューサーの亀田さんが俯瞰から色々と見ながらコントロールしてくださったのかなと思います。
住  吉
歌詞も本当にそれぞれ良くて、特に聴き入ってしまったのが『私へ』という、布袋さんの曲で。私への手紙という感じになっている曲なんですよね。歌詞もそれぞれ色々なことを感じながら歌われましたか?
今  井
このアルバムトータルでずっと見てみると、人生を励ますような歌というものではないんだけど、今の自分を許してくれているというか、許されているというか…。それで、大切な人をこれからも見つめていたい、見守っていたい…そういう風に思える今が穏やかで、そんなことが幸せだなと思えるというか…。そういうささやかな、日常の中の幸せを感じているような歌が多いんだと思うんですけど、それって紆余曲折色々な道を歩いてきたから、今やっとそういう気持ちにふっとなれるって、結構大きいことなんですよね。なかなかその気持ちにたどり着けなくて、迷ったりすることが人生の中で多々あったので。
特に、ロンドンに移って6年になるんですけど、そういう新しい環境の中で育んできた、今だから思える、やっとそういう風に思えるようになった気持ちみたいなものを、皆さんがすくいとってくれてこの作品になっています。
特に布袋さんは、一緒に生活をしている、一番近くで横にいてくれる人として、特に『私へ』という曲は「もっと君は楽に生きて良いのに」ときっとそばで思いながら、「傷を負っていてもそれをやらないと進めない」という不器用な私に、それを見つめているからこういう歌を書いてくれたのかな…と思うんですね。
昨日このアルバムをリリースしたんですけど、昨日までは、この作品を作った人間として「本当はもう少しこういう風に歌うべきだったな」とか「ここはこういう風な解釈でもっと表現すれば良かった」とか、色々なことが渦巻いていたんです。でも、今日ここに来るまでにこのアルバムを1回聴いた時は、“アルバムを手に取ってくださった人が楽しみにわくわくしながら封を開けて聴いている気分”だったの。昨日までと全然違って、今日初めて聴く人のような気持ちでこのアルバムを聴いたら、色々なことが昨日までの自分と違う。やっぱり素直に聴けたのかな? その『私へ』という曲は、映画の主題歌になっている『あなたはあなたのままでいい』という曲と対になっているんだ、と。これを布袋さんが聴いたら怒ると思う、「今頃言ってるの?」って言うかもしれない(笑)。私は本当に目の前のことを乗り越えるのに必死だったから。
『あなたはあなたのままでいい』という曲は、「今まで戦い続けてきた人たち、あなたたちが歩いてきたこの道はこれからも繋がっている。あなたのようにこれからも歩いていってほしい」という、私たち、人生の秋という季節を歩き始めた、みんなの思う気持ちを代表して歌った、作った曲だと思っているんですけど、それに対して『私へ』は、そのパートナーサイドというか。こっち側サイドはこっち側サイドでこんな風に生きてきているよね、ということが「あっ、そういうことか」と。それぞれに戦ってきているんですよね。この『私へ』の方はもっと具体的で…私は、自分のショートカットの時の写真を見つめている気持ちになりました。「世界はもっと 優しく厳しく 自由だと信じていた 後悔はしない いつも自分に 負けないようにと 戦っていたから」…こんな歌詞を女の人の歌詞に書く?(笑) でも、今井美樹にはこれは外せなかったんだろうなと思う、彼は。今日初めて思った。 そういう風にずっと見守ってくれていたんだなと思った。