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第65回 鎌田實さん

第65回 鎌田實さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實さんです。
鎌  田
おはようございます。
住  吉
鎌田先生は30代で諏訪中央病院の院長になられ、「健康づくり運動」を実践して、長野県を長寿日本一にした立役者でもいらっしゃいます。『がんばらない』『あきらめない』などの著書でも知られていまして、2005年からは諏訪中央病院の名誉院長になられています。弱者に寄り添う姿勢が多くの人から支持される「ぬくもりの伝道師」とも呼ばれる方です。
そして、新著『曇り、ときどき輝く』には、鎌田先生ご自身のさまざまな出会いのエピソードが記されていて、貧困世帯を支える「子ども食堂」、認知症や介護の現場、東北の被災地、特別養子縁組の親子の物語など、色々な立場の方の人生の話が描かれています。
鎌  田
日本中飛び回って、必死に生きている子たちの話を書きながら、生きるのはとても素晴らしいことなんだということを上手く伝えられたら良いなと思ったんです。
住  吉
印象的な言葉で「普通という呪縛が人を苦しめる」とあるんですけれども、「両親がいて普通」とか、そういうことですよね。
鎌  田
そうです。お父さんとお母さんがいることが「普通」かもしれないけど、実際はお父さんもお母さんも全て完璧じゃない。家庭はあったけれど、お父さんと上手くいかなかったとか…。だから「普通」っていうのは何なんだろうなと。子供がいなくちゃいけないとか、結婚しなくちゃいけないとか、そんなのおかしいんじゃないか、もっと自由で良いんじゃないかなと思います。
住  吉
例えば「新卒で就職するのが普通」とか…そういう言葉で人に傷つけられたり、自分自身に言って傷ついている人もたくさんいるのかなと思います。今日は鎌田先生にリスナーの人生相談にも乗っていただきたいと思います。

「大学3年生になり、就職が目前。公務員を目指して日々勉強していて、周りがどんどんインターンに受かっていく中、エントリーシートは通るものの、電話での口頭面接で落ちてしまっています。そのためどんどん面接が怖くなり、さらに友人以外の人との会話すら苦手になってきました。コミュニケーション力が大事という昨今、このまま社会に出られるのか、就職できるのか、不安で自信を失っています」(21歳女性)
鎌  田
就職試験は大変だと思いますが、若い世代が少なくなって中高年が引退していきますから、大きな流れで考えれば、就職しやすい状況にはあります。ただ、「公務員だけ」という風に狭めると、今、各自治体のお金がなくなりだして、人を雇わないようにしているから、公務員だけに絞ると厳しいかもしれないです。だから、自分の人生を広く考えてもらって、公務員も受け続けるけども、「これだったらやっても良いな」と思うものも幅広く受けて行く。安定した公務員だけが全てパラダイスなわけではないはずなので、公務員を目指しながら、公務員じゃない仕事の試験を受けてみたりするのも大事かなと思いますね。
住  吉
自分の天職って意外にわからないですよね。
鎌  田
わからない。やってみたら全然違う、全然面白くなかった、なんてこともいっぱいありますよ。
住  吉
鎌田先生は、最初から医師をやりたいと思っていたんですか?
鎌  田
貧乏だったので、とにかく自由になりたかったんですよね。人の言いなりになりたくないなと思ったので、医者になったけど、大学の教授に「あそこの病院に行きなさい」と言われるのが絶対嫌だったから、自分で行きたいところへ行って、自分で決めたら自分で責任を持とうと思っていました。だから、同級生たちはみんな東京の有名な病院や大学で研修が始まるんですけど、僕は長野県茅野市の諏訪中央病院という聞いたこともないところへ行ったわけです。でもそこには、ものすごく面白いものが待っていたんですよね。だから、今大変だとは思うんだけど、視野を広げて考えて、他にも受けておいて、さらに公務員も目指して、試験を受け続けていくことが良いかなと思います。

「私は何をするにも自分に自信がなく、レベルの高い人と比べて、『頑張らなきゃ』と常に気持ちが切羽詰まってしまいます。もちろんその性格が向上心に繋がり、成果をあげることもあるんですが、常々心に余裕のない気分が苦しいと感じます。もう少し楽に構えていた方が気づける発見や出会いもあるでしょうし、考え方を良いベクトルに変えつつ、しっかり頑張れるスパイスをいただきたいです」(18歳女性)
鎌  田
僕は18年前に書いた『がんばらない』という本がベストセラーになったんですけども…。頑張ることはすごく大事なんだけど、生きていく上でもっと大事なのはリズムで、時々頑張らないことがあるからこそ、反動のように頑張れる時が来て、壁を壊していくことができるんです。偏差値やIQ、知能指数で人生は決まらない。確かに10分の1くらいは頭が良い方が良いけれども、能力がなければダメかと言ったらそれだけではなくて、「決断する力」「持続する力」「友達を作る力」「相手の身になる力」など、もっと大切なものがいっぱいあります。人生を決めるのはこっちで、才能とは関係ないから、自分でどうにでもなるわけです。だから、「能力がないから…」と言わずに「誰よりも持続力があります」と。僕は知能指数が低かったんです。だから、人の倍勉強しないと追いつかない。でも「持続力は誰よりも負けない」という思いがあったんですよね。