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第74回 永田泰造さん

第74回 永田泰造さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、公益社団法人 東京都薬剤師会 副会長の永田泰造先生です。
永  田
よろしくお願いします。
住  吉
永田先生は、練馬区で桜台薬局を開設されています。薬剤師歴は何年ぐらいですか?
永  田
22歳で薬剤師になりましたから、今ちょうど40年を迎えております。
住  吉
40年ということで、薬のスペシャリストでいらっしゃる永田先生に、薬に関するあれこれを伺います。薬について、ふと気になることをいくつかピックアップしました。

Q1 薬の服用時間(食前、食後、食間など)は、厳密に守らなければいけないのか?
永  田
なかなか難しい問題ですよね。確かに症状が出ている時は、薬を忘れずにお飲みになるんですが、生活習慣病は症状が出ないので、飲み忘れてしまうというのは誰しもあることだと思います。そこで、薬を飲むにあたって、ある一定のタイミングで飲めるようにする、すなわち「食後に飲む」というスタイルを作っていったら、しっかり忘れずに飲んでくれる回数が増えるだろうということで、「食後」という投与を多くしているんです。ところが、医薬品の特性がありまして、食事の後に飲むと効果が薄れてしまう、身体の中に入らなくなってしまうという薬もあります。もう一つは、例えば糖尿病の方ですと、食事の後30分で血液の中のブドウ糖が上がるんです。薬も同じ30分で上がってくる。ということは、ブドウ糖が上がるのを抑えるためには、食事をする前の30分に飲まなければいけない、というような、薬の効果そのものを上手く出させるようにするために工夫をしなければならない。そうすると、「食前に飲む」ということになります。あるいは、食事の影響で大きな吸収の差が出てくる場合がありますから、お腹に何も入っていない時に飲みなさい、という薬もあるんです。女性に多い、骨粗しょう症ですね。そういった薬は、「起きた後すぐに飲みなさい」という指示が出たりする。そういったものもあるんです。従って、医師が指示した通りにちゃんと飲む、ということをみんなが守る、「アドヒアランス」と言いますが、それをやることが重要になります。でも、人間、忘れてしまいますよね。その時にどう対処したら良いのかを、薬剤師に聞いてみてください。「この薬なら、その後すぐに飲んで良いよ」という薬もありますし、「1回飛ばした方が良いですね」という薬もあります。ですから、飲み忘れた時にどう対処したら良いのかを最初に確認しておくことが大事です。
住  吉
なるほど。食後に飲むと決めていれば忘れないであろうということで「食後」と書いてある薬もある、ということですから、もし例えば、食後だと逆に忘れるという人は、先生に「食後以外に飲んでも良い薬ですか?」と最初に聞いておいて、別の習慣を作っても良いかもしれませんね。
永  田
そうですね。例えば、食前に飲みたい、その時なら忘れない、ということがわかっているのであれば、その時に飲んでも良い薬なのかどうか確認をしていただければ、そのタイミングでずっと飲み続けられるということです。

Q2 薬にも賞味期限はあるのか?
住  吉
“賞味”というのが正しいかわかりませんが…。
永  田
“有効期限”ですね。実はあるんです。医薬品を作っていく段階で、例えば錠剤にしたり、カプセルに詰めたりしますよね。それから試験をしていくんです。苛酷試験(かこくしけん)という言い方をするんですが、湿度の高いところ、気温の高いところに保存をして、1年ぐらい置いてみて、どの程度成分が分解してしまっているか、その確認を取ったりします。結果として大体医薬品は製造されてから5年。その間が有効期限として設定されているものが多いです。ただ、高齢者の方が飲むような栄養補助剤のような液体のものがあるんですが、これは大体1年です。製造されてから1年ですから、流通されて我々の手元に来るまでに8ヶ月ぐらい経っているものもあります。そういう点から見て短いものもありますが、大体の錠剤やカプセル剤は、5年間ぐらいの有効期限があります。ですから、「この薬の有効期限はどのぐらいあるか?」ということを薬剤師に聞いていただけると、「これは4年ぐらいありますよ」などと答えてくれますから、その間は大丈夫です。ですが、保存の問題はあります。直射日光が当たらない涼しいところで保存されていると、その間は服用することができる、成分量が減っていない、という確認が取れているということです。もう一つは、有効期限が切れた翌月、例えば8月末の有効期限の薬は9月1日になったらダメなのかというと、なかなかそうとも言い切れないです。ですが、有効期限が切れたということがはっきりわかった段階で廃棄をしていただくのが正しいかと思います。もう一つは、散剤(粉薬)。開けた時の粉薬と、5年経った時の粉薬とでは、色が変わっていることがあります。よく見られますが、新しいものと見比べていないから気がつかないだけなんです。だから気をつけていただいた方が良いかと思います。
住  吉
永田先生は、西日本豪雨の被災地にも薬剤師として支援に行かれたそうですね。
永  田
はい。私の所属している日本薬剤師会という団体があるんですが、そこの指示で広島と岡山に行ってまいりました。
住  吉
考えてみると、薬が水に濡れてしまったり、流されてしまったり、取りに行けなかったり…という状況で、災害の時、薬に関して困る方もたくさんいらっしゃいますよね。
永  田
おっしゃる通りで、大体発災してから1~2日経った時に「あっ!私の薬がない!」という状況に気がつかれて、訪れる方がたくさんいらっしゃると思います。
住  吉
たくさん薬を持って行かれたんですか?
永  田
はい。薬剤師会に関係する周りの薬局から医薬品を調達して、救護所というところに持っていって、そこで医師の指示に基づいてお渡しする。もう一つは、一般用医薬品ってこういう時こそ使えるので、一般用医薬品でちょっと目がしばつくとか、ちょっとした傷、そういった時に、消毒剤や絆創膏などをお渡しして処置をしていただく。そういったところに薬剤師が入り込んで行っています。そういうふうにして、医療用の医薬品は医師の指示によってちゃんとお渡しできるように、そしてその時の症状によって一般用医薬品で間に合うようであればそれをお渡しする。軟膏もそうですね。夏ですから、虫刺されも結構ありました。
住  吉
そう考えると、薬は日常でもお世話になっていますよね。
永  田
実は役に立つものがたくさんあります。