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第96回 大谷義夫さん

第96回 大谷義夫さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生です。
大  谷
よろしくお願いいたします。
住  吉
大谷先生は呼吸器内科のスペシャリストということで、今インフルエンザの患者さんで混んでいるのではないですか?
大  谷
今年は1月になってインフルエンザが大流行していますからね。インフルエンザの方は毎週毎週増えております。
住  吉
そして来ている方の中には、長引く咳の患者さんも結構いると聞きました。
大  谷
おっしゃる通りです。インフルエンザが治ったのに、2週間、3週間、4週間…と咳が続くという方がたくさんいらっしゃるんですね。そうしますと、インフルエンザは治っていますからインフルエンザではない。風邪でしたら、1~2週間で治るので風邪でもない。そうすると、他の病気を考えていかないといけないですね。
住  吉
長引く咳はどんな理由が考えられるんですか?
大  谷
長引く咳の時には、気管支に炎症が起きていることが多いですね。ただし、クリニックにいらっしゃったら、まずはレントゲンを撮って、がんや結核、肺炎などの重たい病気は除外させていただいて、次に多いのは咳喘息と言いまして、気管支が敏感になってしまう状態、これが長引く咳では一番多いですね。あとは副鼻腔炎だったり、逆流性食道炎ということに伴う咳は、2番目、3番目に多いです。圧倒的に多いのは咳喘息です。
住  吉
そして中にはこういう方もいる、というのが今日のキーワードです。「COPD」。通称タバコ病とも呼ばれる、肺の生活習慣病のことなんです。まずは、どういう病気なのかを教えていただけますか?
大  谷
「Chronic Obstructive Pulmonary Disease(慢性閉塞性肺疾患)」の頭文字を取って「COPD」、タバコによるものですけれども、大気汚染、PM2.5なども関係しています。タバコの有害物質によって、気道に炎症が起きる、または肺胞が溶けていってしまう。つまり、昔の慢性気管支炎だったり、肺気腫を包括したような概念なんです。
住  吉
喘息とは違うものなんですよね?
大  谷
はい。COPDは、主にタバコや大気汚染。タバコも、ご自分のタバコだけではなくて、受動喫煙まで問題になります。それに対して、喘息はアレルギー疾患です。薬を使うことによって、炎症を取れば、または気管支を広げれば、喘息はかなり戻ります。COPDは、気管支を広げてもなかなか戻りづらい。不可逆性、可逆性じゃないというところが問題ですね。
住  吉
ということは、一度COPDになってしまうと、完全には治らない?
大  谷
残念ながら、おっしゃる通りで、一度COPDになってしまいますと完全には治らないですね。
住  吉
他の咳とは、どのように見分けられるのでしょうか?
大  谷
喘息ですと、習慣的に、風邪を引いた後に咳が長引くという方は多いですね。1年に2、3回、または1年に1、2回でも、ある時期になると咳が長引いてしまう。または、花粉症をきっかけに咳が長引いてしまう。夏は冷房がきっかけで咳が長引いてしまう。ちょっとした刺激で咳が長引いてしまうという方は、咳喘息の方が多いですね。一方で、タバコによるCOPDは、咳、痰、息切れが徐々に進行してくる、ゆっくり進む病気なんです。実は、日本人の死因の第10位前後を毎年行き来していまして、世界的にも増えているんです。初期症状は、咳、痰、階段を上った時だけでなく、だんだんと平地でも息切れを起こしてくる。重症してくると、酸素がないと生きていけなくなってしまう。酸素ボンベを持ち歩いている方もいらっしゃいます。
住  吉
では、1年のうちに咳が出たり出なかったり、出る時期と出ない時期があるという方は、咳喘息かなと。COPDの方は1年中。
大  谷
はい。ただし、タバコを吸っていらっしゃる方は、タバコによっても喘息を起こすことがあるんですけども、COPDと合併することもありますから、タバコを吸っていらっしゃるだけでCOPDのリスクは考えておいた方がいいです。あるデータによりますと、40歳以上の人口の8%は、潜在的にはCOPDだと。人数にしても530万人を超える患者数がいると言われています。実際には、人間ドックなどで肺機能検査をしてチェックしていけば、人数はもっとはっきりすると思うんですけども、なかなか人間ドックまで受けられる方は多くないので、診断されていない方がたくさんいらっしゃるんです。
住  吉
肺機能チェックとおっしゃいましたが、具体的にどういう検査をするんですか?
大  谷
呼吸器の検査は、吸ったり吐いたり、肺活量をまず見るじゃないですか。肺活量の検査と一緒に、1秒量という、1秒間に息を吐く検査をします。ただ、1秒何ccと言ってもなかなか患者さんに覚えていただけないので、最近、学会では「肺年齢」という計算式に切り替えて、肺年齢を計算して、患者さんにお渡ししています。それによって、COPDをスクリーニングし、確定診断の時にはCTまで撮らせていただいています。
住  吉
CTを見ると、専門家の方はわかると。
大  谷
はい。CTを撮らせていただければかなりわかりますが、全員がCTを撮ることはなかなかできないので、人間ドックの肺機能検査はかなり有効ですね。