収録スタジオ訪問

 TBS放送センター内にあるTBSラジオさんの「協会けんぽ キラ☆キラ健康サポート」の制作スタジオを訪問しました。
 この日のテーマは、「上手な薬との付き合い方」について。国際医療福祉大学大学院教授の武藤正樹先生をゲストに迎え、番組パーソナリティーの小島慶子さんがお話を進めます。

 武藤先生はジェネリック医薬品普及のために作られたという、オリジナルTシャツをスタジオ内に持ち込み、楽しそうです。小島さんの軽快な質問とフォローに、武藤先生の緊張もほぐれたかのように、お二人の会話が弾みます。

 とてもスムーズに収録が終わり、一息つかれたお二人に、この番組について、健康づくりについてなど、それぞれの思いを伺いました。

インタビュー/Webサイト編集部(インタビュー日:2010年11月9日)

小島慶子さんへのインタビュー
――― この番組を通して、印象に残ったことはどんなことですか。
小島 印象に残ったことばかりです。最も感じていることは、健康の維持・増進に関して、現代では選択肢がとても増えていることを知り、その時代に生まれてよかったということです。
たとえば、ジェネリック医薬品に替えると、医療費がずいぶん安くなること、そのしくみはどうなっているのか、といったことも知りました。
また、がん予防のお話もためになりました。年々がんの患者数が増えています。他人事ではありません。でも、がんについて知らないことが多かったときは、がんは怖いという思いが大きかったのですが、治療法が進み、しかもその人に合った治療法を選択できるし、克服できる病気だということを知り、不安は軽くなりました。
ほかにも、年に1回の定期健(検)診を受けることの大切さなども、この番組を通して再確認できました。
――― 多くの場合、ゲストの方とは初対面ですよね。スムーズな掛け合いでお話されていますが、そのコツは?
小島 もともとの性格ですね。電車の中でも、知らない人に話しかけるのは平気です。ゲストの方とも、自然体で話しています。
専門的なテーマに取り組んでいらっしゃるゲストが、リスナーに何を伝えたいと思っていらっしゃるかを感じ取りたい、そのためにはどういうふうにお話を伺えばいいのかと考えています。
その一方で、リスナーご自身の健康のために、知りたがっていらっしゃる情報を、ゲストの方から最短距離で、一番わかりやすく伺うにはどうすればいいか、とも考えています。 リスナーには、そのテーマについて、すでに詳しい人とそうでない人もいます。初めてその情報に触れる人にとって、「聞いてよかった」と思っていただけるよう、気をつけています。
――― お仕事と子育ての両立に頑張っておられますね。小島さんご本人もご家族も、健康あってのことだと思いますが。
小島 私自身の健康管理は、定期的な運動を週に1〜2回。睡眠時間は平日で4時間くらいしかとれませんので、週末は6時間くらい確保するようにしています。そのほか、室内の空気を乾燥させないようにし、具合が悪くなりそうなときは、早めに漢方を利用して体調をととのえています。
――― お子さんは何人ですか。
小島 小学校2年生と幼稚園の年中組の2人です。子どもたちには、睡眠時間をちゃんととることと、うがい・手洗いの励行をすすめています。あまり神経質にならず、基本は「家族みんな、家の中では楽しい気持ちで過ごせることが一番」と考えています。ちょっとでも笑えることがあったら、「まあいいか」とポジティブに受け止めています。
ただ、手の衛生だけは神経質なんです。戸外などのように、手を洗える状況にないときに、食べ物を食べる場合もあるでしょ。わが家では、手洗い用の手指アルコール消毒剤を、季節を問わずいつも使っています。
――― 食中毒感染だけでなく、インフルエンザウイルスなどからの感染を防ぐにも、手指を清潔にすることは最重要ポイントといわれています。率先して実行なさっているのですね。
小島 あら! 気休めだと思って実行していたのですが、大正解ですね(笑)。
――― 今後のこの番組に対する思いを教えてください。
小島 協会けんぽさんは、加入者のみなさんの健康の維持・増進のために、情報を提供してくださる。しかも、さまざまな状況やニーズに合わせて選択ができるような情報提供をしていこうという意思を、はっきりお持ちだということがわかりました。
リスナーにお伝えしたいのは、ご自分の体の手入れや、定期健(検)診を通した定点観測の場として、普段から病院とつき合っていくことも大事だということです。まず、地元にかかりつけ医を持ってほしいですね。頼りになる人間関係ができます。また、こういった番組などからは、頼りになるいろいろな情報も得られます。
私自身、老いや病を考えたとき、解決のためにはいろいろな選択肢があって、たくさんの人がサポートしてくれると思うと、希望を持って長生きしようと思えます。この思いを、リスナーの方々とも共有し、今後の番組に取り組んでいきたいと思っています。




ゲストの武藤先生へのインタビュー
――― 先ほど、お二人の対談を拝見いたしました。武藤先生、なめらかな口調でトークがとてもお上手ですね。
武藤 この番組でお話するのは2回目です。話し方が単調にならないよう、自然なお話ができるように気をつけています。私はここで、おしゃべりの練習をさせてもらっている感じです(笑)。小島さんと対談できるのが楽しみで、呼んでいただいてうれしいです。
――― 病院での外来診療、大学院での講義、ご専門の研究のほか、地方講演、ラジオ番組出演やご執筆と、ご多忙な毎日ですね。そのエネルギーの源は何でしょう。
武藤 運動習慣がついているので、心身の調子をととのえる基盤ができていると思いますね。毎朝20〜30分自宅の周辺をジョギングしていますし、今日は、このあとテニスです。夏は水泳、冬はスキーにも出かけます。昨年は、初めてスキューバダイビングに挑戦しました。ただ、耳抜きができずに、苦戦しました。
スポーツをしていると、常に前向きな考えになれるのです。仕事でもプライベートでも、新しいことにチャレンジするとき、スポーツの精神や経験が役に立っていると思います。 ブログ(「武藤正樹のWeblog」)も毎日書いています。書くという習慣は、自分の日常を記録しているだけでなく、頭の中を整理していくことに役立っています。
――― 元々のご専門は外科でいらっしゃるそうですが、現在は、主に医療政策や医療経済、病院の安全管理などの分野をご研究なさっていますね。
武藤 今から16年前に国立医療・病院管理研究所の医療政策研究部長の任に就きました。その経験が現在の私の研究に至る原点だと思います。また、いくつかの病院の副院長も経験し、病院のマネージメントに関わったことも貴重な経験でした。
――― 今、とても注目されているテーマに、ずいぶん前に挑まれたのですね。
武藤 私に先見の明があったからでしょう(笑)。そのときどきのニーズによって、仕事の内容が変わってくるでしょ。医師だけの特別なことでなく、ほかの職種の方も同様だと思います。私は、その変化に柔軟に応じてきただけです。私の医師人生を外科医からスタートしたことはよかったと思っています。ものの考え方、行動のとり方など、外科医のトレーニングが今でも染み付いて役に立っています。
――― 現在、外来ではどんな診療をなさっているのですか。
武藤 欧米では一般的ですが、「家庭医」または「総合診療科」、つまりどんな症状も診ることのできる医師として、外来診療しています。日本では少しずつ普及しつつあります。私は米国留学中に家庭医の研修を行いました。日本では、2004年から卒後臨床研修プログラムに盛り込まれています。教育を受けた家庭医たちが増えてくることは、今後の日本にとって非常に重要だと思います。
――― 現在のご関心は、どの分野でしょうか。
武藤 製薬分野では「2010年問題」といわれ、今年、新薬の特許がどんどん期限切れとなっています。その一方で、日本の製薬会社は、新薬の開発(創薬)に苦労しています。こういった状況下で、ジェネリック医薬品が期待されると考えています。
協会けんぽさんでは、先発薬からジェネリック医薬品(後発薬)に切り替えた場合に、自己負担軽減額を通知する「差額通知サービス」を、今年の1月から始めました。中間集計からの推計で、協会けんぽ47支部全体(加入者は約3500万人)では、月に約5.8億円、年間で約70億円の薬剤費削減効果が見込めると、最近(2010年11月)発表されました。
政府管掌健康保険から協会けんぽに組織が変わって、わずか2年くらいの間に、さまざまな政策に取り組まれました。なかでもジェネリック医薬品の普及のための取り組みと実績を、私は高く評価します。
――― 規模の大きな数字で、結果が出た意義は大きいですね。
武藤 健康保険組合さん、国民健康保険さんなども含め、全国的にジェネリック医薬品への切り替えが普及すると、年間約1兆円の薬剤費削減効果が見込めると推計されています。現在、年間の医療費は約33兆円。実際に達成されたら、巨額の「埋蔵金」が生まれるわけです。
このように薬で削減して生まれたお金は、薬に投資することが最も適していると考えます。創薬のできる国は、日本を含め、イギリス、フランス、ドイツなど世界でほんの少ししかありません。本来、日本は創薬の得意な国なのです。ぜひとも、ジェネリック医薬品で浮いたお金は、創薬に投資していただきたい。
――― 日本は、世界に例のない超高齢化の道を進んでいます。私たち国民が目指す健康ビジョンを、武藤先生はどう描いていらっしゃいますか。
武藤 ひとことでいうと、「ぴんぴんころり」です。元気で長生き。亡くなる直前まで元気に暮らすことが大切ですね。国立長野病院に勤務していたときの経験ですが、長野県は高齢者の就業率がとても高いのです。農業に就いている人が多いのですね。入院していても、りんごの収穫期になると元気になって退院してしまう。それで病院の平均在院日数も少ないのです。健康長寿のモデルをそこで見た思いでした。
私ね、最近、「ぴんぴんころり」の歌も、知り合いのシンガーソングライターに作ってもらいました。今度、聴いてくださいね。


スタジオ訪問時の放送内容