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「あのとき受けておけば」と後悔しないために、正しく知ってがん検診を受けましょう

「あのとき受けておけば」と後悔しないために、正しく知ってがん検診を受けましょう

検診受診を先延ばしにしていると、知らぬ間にがんが進行している恐れが

内閣府が行った平成28年度の「がん対策に関する世論調査」によると、がんに対する印象について「怖いと思う」と答えた人が約7割と、多くの人ががんを恐れています。一方で、がん検診を受けない理由(複数回答)として、約3割の人が「受ける時間がないから」、「健康状態に自信があり、必要性を感じないから」と答えています。「必要なときはいつでも医療機関を受診できるから」という人も約2割いました。多くの人ががんを怖いと思いながらも、時間がないことなどを理由に、がん検診を受けていないのです。

確かに、体調が悪くないのに、時間を割いて受診することはなかなかできないことです。また、一度受けても、異常がなければ定期的に受ける必要性を感じられないかもしれません。しかし、多くのがんは、初期にはあまり自覚症状が現れません。症状に気づいて受診しても、すでにがんが進行しており、望む治療が受けられなかったり、完治を目指せなかったりする場合が多いのです。

がん検診は、まだ小さいうちにがんを発見し、早期治療に結びつけるためのもの。怖いからこそ、症状がないからこそ、がん検診を受けることが大切です。

がん検診にはデメリットもあるが、それを上回るメリットがある

とはいえ、がん検診にはデメリットもあります。がん検診は、大勢の人のなかからがんの疑いのある人=陽性者を見つけ、精密検査につなげるものなので、実際はがんではない人まで陽性と判定しまうこと(偽陽性)も少なくありません。

逆に、精度が高まっているとはいえ、100%確実に発見できるわけではないため、がんがあっても見逃してしまうこと(偽陰性)もあります。また、放射線を使った検査では、被ばくの問題もあります。

しかし、「日本人の2人に1人はがんになる」この時代。少なくとも50歳を過ぎたら(子宮頸がんは20歳を過ぎたら)がん検診を受けるほうが、「あのとき検診を受けてさえいれば……」と後悔するよりも、はるかにメリットが大きいといえます。

当コーナーでは、科学的根拠に基づき厚生労働省が推進するがん検診のほか、罹患率の高い部位のがん検診も取り上げて紹介していきます。参考にして正しい知識をもち、がん検診受診を検討しましょう。

がん検診を受ける方法は大きく分けて、①職場や健康保険組合などの健康診断のオプション検査として受ける、②市区町村の検診を受ける、③人間ドックなど健診機関・医療機関で受ける、の3つがあり、受けられる検診の種類や内容は異なります。

協会けんぽ(全国健康保険協会)では、被保険者の方に対しては乳がん検診、子宮頸がん検診のほか、肝臓がんに進行する恐れのある肝炎を見つけるための肝炎ウイルス検査が行われています。被扶養者の方は一般的には②、または③で受けることになります。詳しくは、協会けんぽホームページの「どんな健診があるの?」を参照してください)。

 

安田 聖栄 先生

監修者 安田 聖栄 先生 (医療法人社団あんしん会 四谷メディカルキューブ 理事長 兼 健診センター長
東海大学医学部客員教授)
1977年大阪大学医学部卒業、2008年東海大学医学部消化器外科教授、同付属病院副院長、2016年より四谷メディカルキューブ理事長。日本外科学会、日本消化器外科学会、指導医・専門医。著書は『最新のがん検診がわかる本』(法研)、『一般診療医のためのPET画像の見かた』(金原出版)、『エッセンシャル医療安全』(金原出版)、『がんのPET検査がわかる本』(法研)など。