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乳がん検診②-超音波検査と自己チェックについて

乳がん検診②-超音波検査と自己チェックについて

乳がん検診には、マンモグラフィのほかに、超音波検査という方法もあります。マンモグラフィでは乳がんを見つけにくいタイプの人や、妊娠中の人にすすめられる検査です。また、定期的な検診受診に加え、月1回の自己チェックを欠かさないことも、乳がんの早期発見には非常に大切です。

超音波検査とは

乳がん検診の基本は、問診および乳房X線検査(マンモグラフィ)です(「乳がん検診①─40歳以上は2年に1度マンモグラフィ検査を」参照)。

マンモグラフィは、その有効性が証明されている一方で、乳腺の密度が濃いタイプの人(高濃度乳房という。次項参照)では異常を見つけることが難しく、また、X線を使うため妊娠中の人は受けることができません。そうした方々にすすめられるのが、超音波(エコー)検査です。自治体では導入していないことが多いため、健診機関等で受診することになります。

●超音波(エコー)検査
乳房に超音波をあて、はね返ってくる音波を画像化して調べる検査です。超音波を通すために乳房の表面にゼリーを塗り、その上から器具をあてて行います。
乳腺は白く、多くの乳がんは黒く映し出されるため、触診では気づかないような小さな病変も見つけやすいという利点があります。また、X線を使わないため妊婦でも受けることができ、痛みも伴いません。 さらに、病変があった場合、画像上の影や形から、それが良性か悪性かなどをある程度予測することもできます。悪性の疑いがあるなど、精密検査が必要と判断された場合は、引き続きエコーを見ながら細胞診や組織診などを行います。

赤矢印部分に、約1cmのがんがみられる。(エコー画像提供:医療法人社団あんしん会四谷メディカルキューブ)


高濃度乳房とは

近年、乳がんが見つかりにくいタイプの乳房として関心が高まっているのが「高濃度乳房」です。高濃度乳房とは、乳腺の密度が濃い乳房のことで、一般に欧米人よりも日本人の方が比率が高いといわれています。

マンモグラフィでは、乳腺も腫瘍(乳がん)も白く映ります。高濃度乳房の方の場合、乳腺が密集しているため、乳房の大部分が濃い白色で映し出されます。そのため、乳がんなどの異常が発見されにくいのです。

また、高濃度乳房の方はそうでない方に比べて、乳がんのリスクがわずかに高くなることもわかっています。しかし現時点では、どれくらいリスクが高くなるかといった日本人のデータはまだ示されていません。高濃度乳房は病気でもなければ、乳がんの前段階というわけでもないので、過剰に心配する必要はありません。

高濃度乳房への対応策については現在、国が検討している段階であり、超音波検査による乳がん検診の有効性もまだ明らかにされていません。人間ドックなどの任意型検診で、マンモグラフィ以外の検査(超音波検査や乳房MRIなど)を追加で受けたとしても、必ずしも乳がんを発見できるとは限らず、熟練した検査技術が求められるだけに、正常であっても検査者の技量によっては要精査・偽陽性といった受診者にとって不利益が増加(過剰検査)する可能性もあります。それらのメリット・デメリットを理解したうえで、追加の検査を受けるかどうかを検討してください。

安田 聖栄 先生

監修者 安田 聖栄 先生 (医療法人社団あんしん会 四谷メディカルキューブ 理事長 兼 健診センター長
東海大学医学部客員教授)
1977年大阪大学医学部卒業、2008年東海大学医学部消化器外科教授、同付属病院副院長、2016年より四谷メディカルキューブ理事長。日本外科学会、日本消化器外科学会、指導医・専門医。著書は『最新のがん検診がわかる本』(法研)、『一般診療医のためのPET画像の見かた』(金原出版)、『エッセンシャル医療安全』(金原出版)、『がんのPET検査がわかる本』(法研)など。