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肝炎ウイルス検査-肝臓がん予防のために必ず一度は受けよう

肝炎ウイルス検査-肝臓がん予防のために必ず一度は受けよう

 「肝臓がんの原因はアルコール」と思っている人は多いようですが、実はその原因の大半を占めているのが、肝炎ウイルスです。感染しても自覚症状はなく、放置すれば肝臓がんのリスクも高くなります。まずは一度、肝炎ウイルス検査を受けることが、肝臓がんの予防につながります。

肝臓がんの主な原因は、肝炎ウイルス

肝臓がんには肝臓自体から発生する原発性のがんと、他臓器のがんが肝臓に転移して生じる転移性のがんがありますが、ここでは前者の肝細胞がんについて説明します。

肝臓の主な働きは、①食事でとりいれた栄養分を体にとって使いやすい物質に代謝する、②有害な物質を解毒する、③胆汁をつくって脂肪の消化吸収を助ける、の3つです。なかでも、アルコールを分解するイメージが強いため、肝臓がんの原因はアルコールだと思い込んでいる人が少なくありません。しかし実は、肝臓がんの最大の原因となっているのは、肝炎ウイルスなのです。

日本人の肝臓がんの約70%はC型肝炎ウイルス、約20%はB型肝炎ウイルスが原因と考えられています。B型・C型肝炎ウイルスの主な感染経路は、血液(出産時の母子感染、輸血や血液製剤の使用、感染リスクが明らかでなかった時代の医療行為など)です。また、B型肝炎ウイルスは、性的接触でも感染する場合があります。

肝炎ウイルスに感染すると、B型肝炎では約10%、C型肝炎では約70%の人が慢性肝炎に進行します。すると、長期にわたって炎症と再生が繰り返されるうちに、肝臓の線維化が進みます。その結果、肝硬変や肝臓がんのリスクが高くなります。

肝臓は「沈黙の臓器」といわれるように、自覚症状がなかなか現れません。ですから、まずは肝炎ウイルス検査を受けることが、肝臓がんの予防への第一歩となるのです。

肝炎ウイルス検査とは

肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、血液検査で調べます。採血だけなのでごく短時間で済み、1週間から数週間後には検査結果がわかります。肝炎ウイルス検査では、感染後3カ月ほどたたないと、正しい結果が得られない場合があります。そのため、感染したと思われる時期から3カ月以上経過してから検査を受けることが大切です。

また、自分はリスクがないと思っている人でも、知らないうちに感染している可能性もあります。そのため、一度は肝炎ウイルス検査を受けることがすすめられます。

肝炎ウイルス検査は、①お住まいの市町村での住民基本健診、②お住まいの都道府県等の保健所での検診、のいずれかで受けることができます。また、国立研究開発法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センターの「肝炎ウイルス検査マップ」では、自治体で行っている肝炎ウイルス検査の医療機関を検索することができます。

安田 聖栄 先生

監修者 安田 聖栄 先生 (医療法人社団あんしん会 四谷メディカルキューブ 理事長 兼 健診センター長
東海大学医学部客員教授)
1977年大阪大学医学部卒業、2008年東海大学医学部消化器外科教授、同付属病院副院長、2016年より四谷メディカルキューブ理事長。日本外科学会、日本消化器外科学会、指導医・専門医。著書は『最新のがん検診がわかる本』(法研)、『一般診療医のためのPET画像の見かた』(金原出版)、『エッセンシャル医療安全』(金原出版)、『がんのPET検査がわかる本』(法研)など。