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前立腺がんPSA検査─メリット、デメリットを理解したうえで検討を

前立腺がんPSA検査─メリット、デメリットを理解したうえで検討を

 前立腺がんは、男性がかかる(罹患数)がんの第4位、死亡数の第6位と上位です(国立がん研究センターがん情報サービスの「最新がん統計」による)。前立腺がんの大きな特徴は、進行の速いがんがある一方で、進行が遅く放置して差し支えないがんも存在し、幅が広いことです。またがん検診の中では、唯一、腫瘍マーカーが役立つがんです。血液検査でPSA(前立腺特異抗原)の数値が高くないか調べることが早期発見につながります。

前立腺がんはPSA検査で早期発見が可能

前立腺はクルミほどの大きさで、膀胱の出口で尿道を取り囲むように位置しています。青年男子では盛んに活動し、前立腺液は精液の主要成分として、睾丸でつくられた精子に栄養を与えて活動性を高めます。

前立腺がんは、高齢になるほど増加する傾向があり、悪性度の高いものは少なく、比較的治りやすいがんで、5年生存率は97.5%と良好です(国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計」内の「5年相対生存率」による)。

前立腺がんを早期発見するために有用なのが、血液中のPSA値を測る検査です。PSAは前立腺でつくられるたんぱく質で、がんや炎症によって前立腺の組織が傷つくと、血液中にもれ出し上昇します。この特性を利用して、前立腺がんをチェックします。採血だけでできるごく簡単な検査で、初期の前立腺がんの発見が可能とされています。

PSA値の高さで前立腺がんの可能性を判断。ただし、過剰診断の可能性も

PSAの一般的な基準値は4 ng/mL以下で、これを超えると前立腺がんの可能性が高くなります。4~10で25%、10を超えると約50%にがんがみつかるとされます。ただし、前立腺肥大症や前立腺炎によってもPSA値は高くなるため、基準値を超えたからといって必ずしもがんであるとは限りません。

一方で、前立腺がんの中には、「潜在がん」や「天寿がん」と呼ばれるものがあります。潜在がんとは、進行が非常にゆっくりであったり、発生・消失をくり返しているがんで、治療の必要はありません。天寿がんとは、寿命に影響を与えのことです。PSA検査は、これらの生命を脅かさないがんを発見する「過剰診断」につながる可能性があります。

安田 聖栄 先生

監修者 安田 聖栄 先生 (医療法人社団あんしん会 四谷メディカルキューブ 理事長 兼 健診センター長
東海大学医学部客員教授)
1977年大阪大学医学部卒業、2008年東海大学医学部消化器外科教授、同付属病院副院長、2016年より四谷メディカルキューブ理事長。日本外科学会、日本消化器外科学会、指導医・専門医。著書は『最新のがん検診がわかる本』(法研)、『一般診療医のためのPET画像の見かた』(金原出版)、『エッセンシャル医療安全』(金原出版)、『がんのPET検査がわかる本』(法研)など。