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腫瘍マーカー検査─特性と役割を正しく理解しよう

腫瘍マーカー検査─特性と役割を正しく理解しよう

腫瘍マーカー検査単独では確定診断ができない

腫瘍マーカーのほとんどは、進行がんの場合に異常値を示します。その特性を生かして、以下のような目的で利用されます。

1.体内に腫瘍がある場合、悪性か良性かの診断で補助的に利用する

2.がんの再発にともない、値が上昇する場合があるので、術後の経過観察のために利用する

3.がんの化学療法や放射線治療の効果を調べるために補助的に利用する

このように、腫瘍マーカーは、進行したがんの経過を把握するためには役立ちますが、健常者のがんの早期発見にはあまり役立ちません。ただし、現時点で唯一、PSAだけは前立腺がんの早期発見に役立つことが示されています(前回記事 参照)。

もう1つ注意しなければならないのは、腫瘍マーカーは、がんがあっても値が増加しないこともあれば、がんがなくても異常値になる場合があるということです。たとえば、肝臓がんの腫瘍マーカーであるAFPは、慢性肝炎や肝硬変でも高値になる場合があります。また、CA125は卵巣がん検診のスクリーニングとして活用されていますが、骨盤内の炎症や子宮内膜症などで高値になることが知られています。

以上のことからもわかるように、腫瘍マーカー検査単独では、がんの有無や進行度を判断することはできません。腫瘍マーカー検査は、あくまでも参考となる情報を得るために行われる検査のうちの1つであり、最終的な診断は、画像検査や身体所見などと総合して医師が行います。

腫瘍マーカー検査は、健康診断や人間ドックのオプションとして用意されていることが多いですが、検査の目的や必要性について、きちんと説明を受けたうえで検討するようにしましょう。

安田 聖栄 先生

監修者 安田 聖栄 先生 (医療法人社団あんしん会 四谷メディカルキューブ 理事長 兼 健診センター長
東海大学医学部客員教授)
1977年大阪大学医学部卒業、2008年東海大学医学部消化器外科教授、同付属病院副院長、2016年より四谷メディカルキューブ理事長。日本外科学会、日本消化器外科学会、指導医・専門医。著書は『最新のがん検診がわかる本』(法研)、『一般診療医のためのPET画像の見かた』(金原出版)、『エッセンシャル医療安全』(金原出版)、『がんのPET検査がわかる本』(法研)など。