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血圧を下げるアノ手コノ手

血圧を下げるアノ手コノ手

 メタボリックシンドロームの判定に必須な血圧値。血圧値の読み方が改定されたり、1日の食塩の摂取量がもっと厳しくなったりと、高血圧対策が進んでいます。高血圧を予防するために、今日からできる減塩法や運動をご紹介しましょう。

高血圧になる危険の高い「正常高値血圧」

 血圧は、高くても自覚症状がほとんどないため、ともすれば放置されることが少なくないのですが、その先に待っているのは動脈硬化です。動脈硬化は脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる重大な病気をもたらします。そのため、動脈硬化の予防を狙いとしたメタボ健診(特定健診)では、腹囲かBMI(肥満を判定する指数)に加え、血圧も規定値を上回ると保健指導の対象にしています。
 高血圧とは、日本高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン 2009」では「収縮期血圧140㎜Hg以上、または拡張期血圧90㎜Hg以上」と定義しています。一方、正常血圧は「130㎜Hg未満、かつ85㎜Hg未満」とされています。そしてこの両者の間の値、つまり130-139㎜Hg、または85-89㎜Hgを「正常高値血圧」と位置づけました。
 これは、高血圧ではないけれど正常でもない境界域、という意味です。“正常”とは呼んでいるものの今後高血圧になる可能性が高い、という警告が込められています。
 メタボ健診で保健指導の対象者を振り分ける際の血圧の値も正常高値です。このレベルのうちに生活習慣の改善を進めることで、高血圧への危険な道から軌道修正を図ってもらおうというわけです。

血圧を下げる7つのポイント

 血圧を下げるために改善すべき生活習慣として、前述のガイドラインでは次のような項目を挙げています。

(1)食塩摂取量は1日6g未満に

 食塩の主成分であるナトリウムが血液中で濃くなると、濃度を一定に保つために水分が血管内に引き込まれ血液の総量が増えます。これを全身に送り出すために血圧が上がります。日本人の食塩摂取量は平均11.6g(「平成21年国民健康・栄養調査」厚生労働省)もありますから、薄味にそうとう慣れる必要がありそうです。

(2)野菜・果物を積極的にとる

 野菜や果物には、ナトリウムを尿中に排出するのを促す作用のあるカリウムが豊富に含まれています。毎日の食事でたっぷりとりましょう。ただし、果物は果糖が豊富なので、たくさん食べると肥満が心配。またカリウムは水や加熱で溶け出しやすいので、野菜の調理には注意が必要です。

(3)コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える

 

 どちらもとりすぎは動脈硬化を悪化させます。

(4)適正体重を維持する

「身長(m)×身長(m)×22」が目安。肥満の人は1kg減量で血圧が1㎜Hg下がるとされています。

(5)毎日30分以上の有酸素運動を行う

 毎日30分以上の有酸素運動を行うと、血流が改善してナトリウムの排せつが促されると同時に、血圧を下げる血中物質が増えてきます。軽く汗ばむ程度のウオーキングを行うのがおすすめです。

(6)アルコールはエタノール換算で男性20-30ml、女性10-20ml以下に

 計算法は「飲んだ量(ml)×アルコール濃度(%)÷100=エタノール量(ml)」。

(7)禁煙する

 喫煙は血管を収縮させます。また、ヘモグロビンと酸素の結合が妨げられて全身への酸素の供給量が減るため、心臓はより多くの血液を送り出そうとして血圧が上がります。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。