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見えているのはほんの2割──あぶらは隠れている

見えているのはほんの2割──あぶらは隠れている

 バターやマヨネーズ、肉の脂身などのように、外から「見えているあぶら」は、実際の摂取量の2割程度。残りの8割は、パン生地などの素材や料理のソース、調理や下ごしらえに使われる「見えないあぶら」です。これらに気をつけてはじめて、あぶらのとりすぎを防ぐことができます。

食材に含まれていたり、調理の過程であぶらが

 いまの日本人は、摂取エネルギーが減少傾向にあるにもかかわらず肥満が増えています。その原因として、食事での「あぶら」(脂肪)のとりすぎが指摘されています。多くの人があぶらはとりすぎてはいけないことを承知しているはずなのに、なぜ逆の方向へ行ってしまうのでしょうか。そのカギとなるのが、「見えないあぶら」の存在です。

 見えないあぶら、言い換えれば隠れているあぶらは、食材そのものに初めから含まれていたり調理の過程で使われているあぶらのこと。日本人が摂取しているあぶらを種類別にみると、ほぼ8割を見えないあぶらが占め、植物油やマヨネーズ、バター、肉の脂身といった存在がはっきりと見えるあぶらは2割ほどといわれます。見えるあぶらに対してはとりすぎてはいけないと自戒が働きますが、見えないものにはつい油断してしまうのでしょうか。いま問題になっているメタボリックシンドロームを予防するには、このような見えないあぶらを警戒しなくてはいけません。

揚げ物やソース、ドレッシング、菓子類などに

 見えないあぶらはどんなところに潜んでいるか、いくつか例を挙げていきましょう。

  • 揚げ物料理
    揚げ方によってあぶらを含んでいる割合(吸油率)が異なります。多い順にいうと、てんぷら→フリッター・フライ(かつなども含む)→唐揚げ→素揚げ──となります。また、食べる量が同じでも、食材のカット面が多いほどあぶらに接する面も大きくなります。
    例えば、1枚の大きなとんかつより、一口大のかつのほうが、また、フライドポテトなら太切りより細切りのほうが、それぞれ吸油率は高くなります。
  • 市販の弁当や総菜
    肉や魚にかかっているソースやサラダのドレッシングには、あぶらがたっぷり。
  • チーズ
    ナチュラルチーズやパルメザンチーズはあぶらが多め。比較的少なめなのはカッテージチーズ。
  • 中華料理
    下調理で食材を素揚げしていることが多く、あんかけのあんにもあぶらが使われています。
  • カレーやシチューのルー
    1皿分で約7gのあぶらが含まれています。
  • 菓子パン・デニッシュ
    生地にバターが練り込まれています。選ぶなら食パンやフランスパンなどを。
  • 菓子類
    洋菓子には生クリームやバターが多く使われます。トッピングしてあるナッツ類もあぶらが豊富。和菓子でも揚げせんべいやかりんとうは、あぶらを使った揚げ物。同じく、スナック菓子も揚げ物が多い。

揚げ物には野菜をたっぷり付け合わせて

 あぶらをとりすぎないためには、以下のようなことに注意してください。

  • メインのおかず(主菜)を揚げ物にするなら、3日に1回ほどに。付け合わせにはたっぷりの野菜を。
  • 肉類に偏らず魚も主菜に。
  • フッ素樹脂加工の鍋やフライパンを使えば、少量のあぶらで調理が可能。
  • サラダのドレッシングにはポン酢がおすすめ。市販のマヨネーズやドレッシングで、あぶら少な目やノンオイルなどの製品は、通常のタイプより塩分が多い場合があるので注意を。

 このほか、食品を買うときは成分表示にも注意を払い「脂質量」をチェックすることなどを習慣づければ、見えないあぶらにつけ込まれることは少なくなるでしょう。

小池 澄子 先生

監修者 小池 澄子 先生 (管理栄養士、料理研究家)
女子栄養大学生涯学習講師ほか、複数の大学で非常勤講師を勤める。食と自然と人を結ぶネットワーク有限会社カナ代表。企業やクリニックで健康管理に関わり、保育園や地域で子育て支援、栄養相談、離乳食教室、講演など行っている。栄養、料理、農場を通じて心と体と社会の健康を高める情報やレシピを提供し、“命を繋げてゆく食”を柱に食育活動展開中。著書に『簡単でおいしいおやつ』(かもがわ出版)、『おいしい山歩き』(大月書店)、『ステップアップ離乳食』(学習研究社)、『初めての離乳食』(ベネッセコーポレーション)、『黒豆健康生活』(青春出版)など多数。