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肉抜きダイエットはやせにくい

肉抜きダイエットはやせにくい

肉は、筋肉や臓器などの組織を作るたんぱく質の大切な供給源。たんぱく質が不足すると、代謝が低下してやせにくい体になってしまいます。肉の種類や部位、調理法によるエネルギー差を意識して、効率よくとりましょう。

タンパク質不足から筋肉がやせ、基礎代謝が低下する

メタボリックシンドローム(以下、メタボ)の予防・改善で必須項目の1つはダイエット。そのダイエットで、脂肪が気になるからと肉類を敬遠する人は少なくないでしょう。でもこの発想は、はっきり言って、NG。肉類が主な供給源であるタンパク質は、不足すると筋肉がやせてきて基礎代謝が低下するため、かえって太りやすい体になってしまうのです。

タンパク質は、炭水化物、脂質とともに3大栄養素といわれています。筋肉や臓器、血液など体の主要な組織をつくる栄養素ですが、このほかにも、体の正常な機能を保つために不可欠な酵素や神経伝達物質の原料になります。

タンパク質の材料はアミノ酸。アミノ酸には体内で合成できない必須アミノ酸が9種類あり、それは食事によってとらなければなりません。この必須アミノ酸がバランスよく含まれているのが肉類。ダイエットによさそうだからと、野菜ばかりモリモリ食べていると必須アミノ酸が不足して筋肉量の低下ばかりでなく、血管が弱くなったり、肌や髪が傷みやすくなる、女性ホルモンのバランスが崩れるなどの弊害が出てきます。

肉には魚に勝る栄養素的メリットも

それほど重要なタンパク質なら、魚からとってもいいじゃないか、という声も聞こえてきそうです。それも一理ありますが、肉には魚に勝るメリットも少なくありません。例えば、赤身の肉に豊富な鉄分。不足すると貧血を起こしますが、肉には体に吸収されやすいヘム鉄が多いのです。また、味覚を正常に保つのに必要な亜鉛は、牛肉に比較的多く含まれます。糖質の分解に必要なビタミンB1は疲労や夏バテの回復に役立つとされ、豚肉に豊富です。

脂肪の少ない食材選びと脂肪を落とす調理で

このように、ダイエット中でもタンパク質はしっかりととる必要があり、その供給源として肉類を欠かすことはできません。そこで次は、メタボ対策を頭に入れた肉類の上手なとり方を考えてみましょう。

肉類で注意しなければいけないのは、肥満やメタボの原因になりやすい飽和脂肪酸が多く含まれていること。そこで食材選びのときには、脂肪の少ない赤身の部分であるヒレやもも肉などを。鶏肉なら、ささみや皮なしのむね肉やもも肉を選んでください。

調理法によっても脂肪の残る量が異なります。油を使う揚げる・炒めるなどの調理法ではなく、蒸す・ゆでるなどの方法だと脂肪を落とすことができます。

食べ方でもダイエット向きの方法があります。それはできるだけよく噛(か)むこと。その意味では、薄くスライスした軟らかい肉やひき肉で作ったハンバーグや肉だんごなどよりは、厚みのある焼き肉やステーキなどのほうが噛みごたえがあり、さらに消化吸収も含めて使われるエネルギーが多くなりますからダイエット向きといえます。

最後に、肉は必要だからとはいえ、そればかりという偏った食べ方はメタボ対策にはなりません。メインディッシュは、肉料理と魚料理を交互になるようにとり、いずれの料理にもたっぷりの野菜料理と、適度の豆類や海藻類の料理も添えて、バランスのよい食生活を心がけてください。

小池 澄子 先生

監修者 小池 澄子 先生 (管理栄養士、料理研究家)
女子栄養大学生涯学習講師ほか、複数の大学で非常勤講師を勤める。食と自然と人を結ぶネットワーク有限会社カナ代表。企業やクリニックで健康管理に関わ り、保育園や地域で子育て支援、栄養相談、離乳食教室、講演など行っている。栄養、料理、農場を通じて心と体と社会の健康を高める情報やレシピを提供し、 “命を繋げてゆく食”を柱に食育活動展開中。著書に『簡単でおいしいおやつ』(かもがわ出版)、『おいしい山歩き』(大月書店)、『ステップアップ離乳 食』(学習研究社)、『初めての離乳食』(ベネッセコーポレーション)、『黒豆健康生活』(青春出版)など多数。