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運動効率は平地の3倍! 階段エクササイズ

運動効率は平地の3倍! 階段エクササイズ

 運動をしたいけれど時間が取れない……という人は、日常生活の中で運動量を稼ぎましょう。階段を上ると、平地を歩くときの3倍のエネルギーが消費され、お尻や太ももの筋肉を効率的に鍛えられます。

エネルギー消費量はジョギングとほぼ同じ

 メタボの予防・改善に毎日一定量の運動は必須。「そうは言われても、なかなか時間が取れなくて……」という方は、毎日の生活のなかの動きを工夫して運動化していくしかないでしょう。その基本はできるだけ歩くこと。通勤の行き帰りに歩く時間を増やす。昼休みの外食はなるべく遠くの店へ行く。買い物はわざと遠回りして行く(遠くの店へ行くと荷物の増えた帰りがキツイかも)──など便利さ優先の発想を変えれば、かなりの運動量を確保できるはずです。
 こうした工夫のなかでおすすめしたいのが、階段の上り下り。特に上りは平らな所を歩く場合の3倍ほどの運動量になり、ジョギングとほぼ同じくらいのエネルギーを消費するといわれます。そして、歩くことは基本的に心肺機能を強化し、同時に階段を上るために脚を引き上げることで、中年過ぎから衰えやすい腰回りや太ももの筋力の強化も期待できます。脚腰の大きな筋肉の衰えをストップすれば基礎代謝が活性化され、脂肪のつきにくい体になります。
 職場のフロアが2-3階なら歩いて上る。駅ではエスカレーターを利用しない。自宅マンションやデパートなどの高層階へは、初めにエレベーターやエスカレーターを利用しても途中で降りて最後は歩く──などのチャレンジを続けていけば、メタボ対策の立派な運動になるでしょう。

自宅でもできる階段エクササイズ

 この階段効果を取り入れたエクササイズも提唱されています。職場や自宅に階段があれば、いつでもできる手軽な方法です。例えば、10段分だけ一定時間上り下りする方法があります。無理をせず自分のペースで10分程度上り下りします。上りは背すじを伸ばし、かかとから着地することで腰回りや太ももの後ろ側の筋肉が鍛えられます。下りでは膝に負担がかかるのと、脚の筋力が弱いと自分の体重を十分に支えきれないこともあるので、手すりのある階段で行うのが安全です。下りの着地は、かかとではなく土踏まずあたりのほうがブレーキがかかり過ぎずスムーズに行えるでしょう。
 さらに、身近に階段がなくてもできるようにと、上り下り運動をするためのステップ台がすでに商品化されています。高さ10-20cmほどの台に10分間ほど上り下りするのが基本で、これを1日3回、2ヵ月続けた中年グループは何もしなかったグループに比べて、ウエストのサイズが平均で2cm以上も細くなったというデータが報告されています。
 10分間、低い台をただ上り下りするだけでは飽きてしまうかもしれませんが、初心者にはスローテンポの音楽に合わせて行わせたり、スポーツ選手のトレーニングには速いテンポのロックなどを流して行っているスポーツジムもあるようです。自宅で行うなら、気に入った音楽を聞きながらするのもいいかもしれません。
 階段のエクササイズに限らず、メタボ対策として行う運動の効果的な強さは人によって違います。酸素摂取量や脈拍から割り出す方法もありますが、個人の感覚でチェックするには、「息切れがして少し苦しいが、会話はできる」程度の強さで行うのがよいといわれています。

森谷 敏夫 先生

監修者 森谷 敏夫 先生 (京都大学大学院 人間・環境学研究科 応用生理学研究室教授)
1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授、京都大学教養部助教授(准教授)、カロリンスカ医学研究所国際研究員(スウェーデン政府給付留学)、米国モンタナ大学生命科学部客員教授などを経て、1992年、京都大学大学院人間・環境学研究科助教授(准教授)、2000年から現職就任。専門は応用生理学とスポーツ医学。国際電気生理運動学会会長、アメリカスポーツ医学会評議員、日本運動生理学会理事ほか、複数の要職兼務。主な著書は『メタボにならない脳のつくり方』『人は必ず太る しかし 必ずやせられる』ほか。