文字サイズ

「お米を食べると太る」は、誤解です

「お米を食べると太る」は、誤解です

 お米の主な栄養素は炭水化物ですが、ビタミン類やミネラル類も多く含まれます。粒食なので分解に時間がかかり、適量なら太りにくい食材。最近手に入りやすくなった玄米や古代米は、さらに栄養価が高く、生活習慣病やメタボ予防の効果が期待できます。

粒のまま食べるので消化・吸収がゆっくり、体脂肪になりにくい

 「ごはん食は太る」とはよく耳にする言葉です。結論から先にいうと、それはまったくの誤解。どうしてそんな誤解がまかり通ってしまうのでしょうか。
 お米を炊き上げたごはんは、水分を含んで見た目にボリューム感があります。さらに、茶わんによそって手にしてみると、同じ1食分のパンに比べてずっしりと重さを感じます。このような重量感から、太るというイメージを持たれてしまうのでしょうか……。
 実際には、「ごはん=お米」には、太るどころかそれを抑える働きがあるといっていいのです。
 ごはんは糖質食品ですが、同じようなパン、じゃがいも、シリアルなどと比べて摂取後のインスリン反応や血中の中性脂肪反応が低く、体脂肪の合成や蓄積を抑え、脂肪の燃焼比率を高めるので肥満になりにくいといわれます。その理由は、ごはんは粒のまま食べるので、粉から作られているパンなどよりも消化・吸収がゆっくりになり、インスリンの分泌も緩やかになるためです。ちなみに、インスリンは膵臓から分泌されるホルモンで、体脂肪の合成・蓄積を促します。
 また、食事をすると体がポカポカと温かくなります。これは食事をとることで体内のエネルギー消費量が増えるためで、これを「食事誘発性熱産生」といいます。ごはんを中心とした和風の食事のほうが、パンを主食とした洋風の食事より食事誘発性熱産生が高いという研究報告があります。つまり、ごはん食のほうが食事によるエネルギー消費量が多いので、太りにくいことになります。

油の少ない料理と組み合わせてメタボの予防・改善に

 ごはんは、いろいろな料理によく合います。刺し身や焼き魚、納豆、豆腐など伝統的な和風の料理はもちろん、中華料理や肉汁のしたたるステーキなどの洋風の料理ともおいしくいただけます。
 注目すべきは、和風料理の特徴は油の使用量が少ないものが多いこと。精白米の成分構成は炭水化物が80%近くで、脂肪は1%足らず。つまり、ごはんを中心とした和風の料理を食べている分には、脂肪を抑えた食事になるので太る心配が少ないといえるでしょう。ただし、おかずとして揚げ物や炒め物、脂肪の多い肉料理などを食べていれば、いくら主食をごはんにしても摂取エネルギーが増えるので、太らないということにはつながりません。
 「ごはん=お米」の長所は、太りにくいことのほかに、精米度を抑えることでたんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などを多く残せること。玄米や玄米を少し発芽させた発芽玄米などは、栄養価・栄養バランスともに優れた健康食品です。生活習慣病やメタボ予防の効果が期待できる食品として注目されています。
 「ごはん=お米」を食べると太る、という誤解は修正して、適量を守り、油の少ない料理と組み合わせて、メタボ対策に活用してください。

小池 澄子 先生

監修者 小池 澄子 先生 (管理栄養士、料理研究家)
女子栄養大学生涯学習講師ほか、複数の大学で非常勤講師を勤める。食と自然と人を結ぶネットワーク有限会社カナ代表。企業やクリニックで健康管理に関わり、保育園や地域で子育て支援、栄養相談、離乳食教室、講演など行っている。栄養、料理、農場を通じて心と体と社会の健康を高める情報やレシピを提供し、“命を繋げてゆく食”を柱に食育活動展開中。著書に『簡単でおいしいおやつ』(かもがわ出版)、『おいしい山歩き』(大月書店)、『ステップアップ離乳食』(学習研究社)、『初めての離乳食』(ベネッセコーポレーション)、『黒豆健康生活』(青春出版)など多数。