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泳げなくても大丈夫! 「水中ウオーキング」で無理なく運動

泳げなくても大丈夫! 「水中ウオーキング」で無理なく運動

 水中運動のメリットは(1)浮力のおかげで筋肉や関節にかかる負担が少ない、(2)体に適度な水圧がかかるので血流がよくなる、(3)水の抵抗によって消費エネルギーがアップする、の3つ。運動が苦手な人でも継続しやすく、メタボ改善に有効です。

準備運動をしてから、プールにゆっくり入ろう

 メタボリックシンドローム(以下、メタボ)の防止・改善のために必要なことの一番に挙げられているのは、長い時間続けられる有酸素運動。「でもこの時期、暑いし汗びっしょりになるし……」と二の足を踏んでいるかたには、「水中ウオーキング」をお勧めします。汗まみれになる不快感はなく、泳げなくてもできて、それでいてメタボ予防効果は十分に期待できます。

 ビギナー向けの水中ウオーキングの方法をご紹介しましょう。プールへ行けば、泳がずに歩いているかたがすでにいるかもしれませんよ。
 まずは軽く準備運動を。足の太ももやふくらはぎをよく伸ばしてください。腕も使いますから、肩を前後に回したり、ひじを曲げ伸ばすなどして関節が動きやすいように刺激しましょう。
 準備運動が終わったら、プールにゆっくり入ります。まだ歩かなくていいですから、浅い所で2分間ほどゆったりつかり、水に慣れるようにします。歩いている人や泳いでいる人が来たら、じゃまにならないようにするのがエチケットです。

横歩きから大また歩きまで、1時間ほど歩いてみよう

 さあ、歩いてみましょうか。初めは横歩きから。水の抵抗が少なくウオーミングアップになります。5分ほど歩いたら一休み。この「5分歩いて少し休む」を、その後の水中ウオーキングでも基本パターンにしてください。
 次に、陸上で歩くように普通の歩幅で歩いてみましょう。横歩きより水の抵抗があるので歩きにくいかもしれませんが、腰が反らないように注意してください。慣れてきたら、少しずつ歩幅を大きくします。最後は大またで、両腕で水をかき、かかとから着地するように踏み出します。

 腰に不安のある人は後ろ歩きでも構いません。小さな歩幅でプールの底をすり足で進みます。上体をまっすぐにし、腰が反らないように注意しましょう。
 このような水中ウオーキングを1時間、週に2回できれば、数カ月後には体重や血圧、血糖値などでよい変化が表れてくるでしょう。

水の浮力、水圧、抵抗がそれぞれにメリットを

 水中ウオーキングをおすすめする理由は、汗だくにならないから、というだけではありません。浮力、水圧、抵抗という水の特性が、それぞれに陸上では得られないメリットをもたらします。

  • 浮力……腰まで水につかると体重の負担は半減されるので、膝や腰に痛みのある人、肥満気味の人、運動習慣がなくて筋力の弱い人でも無理なく運動ができます。また、体の深くにあって関節を支え、普段はあまり使わないインナーマッスルが鍛えられるので、関節が安定して楽に運動ができるようにもなります。
  • 水圧……陸上では下半身にたまりがちな血液が、水圧で押し上げられて心臓への血流が増加。末梢血管の血流もよくなり血圧が下がります。
  • 抵抗……体に多くの負荷がかかるので、陸上で同じ程度の動きをするくらいのエネルギーを消費します。また、水の抵抗は体にまんべんなくかかり、筋肉がバランスよく鍛えられる効果があります。

 最後に、水中ウオーキングは汗をかかないとはいえ、血液循環がよくなるので体の水分が不足する可能性があります。そこで、プールに入る前後にコップ1杯ほどの水分補給も忘れないようにしてください。

森谷 敏夫 先生

監修者 森谷 敏夫 先生 (京都大学大学院 人間・環境学研究科 応用生理学研究室教授)
1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授、京都大学教養部助教授(准教授)、カロリンスカ医学研究所国際研究員(スウェーデン政府給付留学)、米国モンタナ大学生命科学部客員教授などを経て、1992年、京都大学大学院人間・環境学研究科助教授(准教授)、2000年から現職就任。専門は応用生理学とスポーツ医学。国際電気生理運動学会会長、アメリカスポーツ医学会評議員、日本運動生理学会理事ほか、複数の要職兼務。主な著書は『メタボにならない脳のつくり方』『人は必ず太る しかし 必ずやせられる』ほか。