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上手に減塩してメタボ予防

上手に減塩してメタボ予防

 メタボリックシンドローム(以下メタボ)は腹部肥満に加え、高血圧、高血糖、脂質異常のうち2つ以上の値が一定以上の場合をいいます。高血圧もメタボのリスク要因となっていることから、上手に減塩することが、メタボを予防・改善することにつながります。

まだまだ多い日本人の食塩摂取量

 減塩というと高血圧の予防には欠かせないテクニックですが、それだけではなくメタボの予防にもつながります。高血圧だけでなく、メタボ予防という大きな視点から取り組んでいただきたいと思います。
 日本人の食塩摂取量は、平成24年現在で男性は平均11.3g、女性は9.6g(「平成24年国民健康・栄養調査の結果概要」厚生労働省)。厚生労働省は成人の食塩摂取の目標値を男性9.0g未満、女性7.5g未満としていますから、現状ではまだかなりとり過ぎているといえるでしょう。

高血圧は動脈硬化を促進し、命を脅かす病気の危険を高める

 私たちの体には、体内の塩分濃度を常に一定に保とうとする働きがあり、食塩を必要以上にとりすぎて血液中の塩分濃度が高くなると、水分をとって濃度を薄めようとします。水分を多くとれば血液量が増え、これを全身に循環させるために心臓は強く収縮して血液を押し出さなくてはなりません。この結果、血管壁にかかる圧力は高くなる、つまり血圧が高くなるのです。さらに食塩の主成分であるナトリウムそのものも、脳に働きかけて交感神経を刺激し、抹消血管が委縮して血圧を上げるという作用をもたらします。
 血圧の高い状態が続くと血管壁はダメージを受けて動脈硬化が進みます。動脈硬化は、心臓や脳の太い血管で進行すれば心筋梗塞や脳卒中を起こす危険が高くなるのでメタボの元凶とされています。つまり、高血圧が怖いのは命を脅かす病気につながる動脈硬化を促進するからで、そのために減塩には積極的に取り組んでいただきたいのです。

食べ方、調理、食品選びなどの工夫で減塩を

 減塩へのアプローチの1つは、食べ方や調理の工夫です。今や世界的に注目されている和食ですが、欠点はみそやしょうゆなど塩分の多い調味料を使うこと。そこで、みそやしょうゆは「減塩」表示のついているものを使うのもひとつの方法です。
 みそ汁は濃いだしを使えば少量でもおいしくいただけます。野菜などの具だくさんにして、汁を飲むより具を食べるみそ汁にするという手もあります。しょうゆも、少量に濃いめのだしを加えただし割りしょうゆがおすすめ。
 また、刺し身などにしょうゆをつけて食べるときは少しだけつけ、しょうゆのついた部分から舌にのせると物足りなさを感じないですみます。おすしも、シャリにしょうゆをつけるより刺し身に少量つけるようにすれば塩分は大きく減らせるでしょう。
 いろいろな食品の塩分量を意識することも減塩につながります。漬け物や魚貝類の塩蔵品、梅干しなどに塩分が多いのはよく知られていますが、ハムやソーセージ、ちくわ、はんぺんなどの加工品、食パンやそうめんなどにも塩分は含まれています。
 また、市販の食品には栄養成分が表示されています。そこでは「食塩量」ではなく「ナトリウム量」で表示されているものが多いですが、その場合はナトリウム量(g)に2.54を掛けると食塩相当量(g)が算出できます。
 外食でも、ラーメンや天ぷらそば、かつどん、天どんなどのどんぶり物、握りすしなど、塩やしょうゆを使うものは1食分で5g前後も塩分が含まれているものもあります。

小池 澄子 先生

監修者 小池 澄子 先生 (管理栄養士、料理研究家)
女子栄養大学生涯学習講師ほか、複数の大学で非常勤講師を勤める。食と自然と人を結ぶネットワーク有限会社カナ代表。企業やクリニックで健康管理に関わり、保育園や地域で子育て支援、栄養相談、離乳食教室、講演など行っている。栄養、料理、農場を通じて心と体と社会の健康を高める情報やレシピを提供し、“命を繋げてゆく食”を柱に食育活動展開中。著書に『簡単でおいしいおやつ』(かもがわ出版)、『おいしい山歩き』(大月書店)、『ステップアップ離乳食』(学習研究社)、『初めての離乳食』(ベネッセコーポレーション)、『黒豆健康生活』(青春出版)など多数。