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今より10分多く体を動かそう

今より10分多く体を動かそう

 日常の身体活動量を増やすと、メタボリックシンドロームや生活習慣病、がんのほか、ロコモティブシンドロームや認知症のリスクを下げることができます。毎日をアクティブに過ごして、今より10分多く体を動かすポイントを紹介します。

メタボやロコモ、うつ病、認知症のリスクを減らす

 仕事や家事、運動などで体を活発に動かすことが心身の健康づくりによいことは、みなさんよくご存じのこと。厚生労働省は、日ごろから意識して運動に取り組んでもらおうと、「+10(プラス・テン)」で健康を手に入れ、健康寿命をのばそう! という取り組みを行っています。これは、「毎日いまより10分多く体を動かそう」という内容で、若い人から年配者まで、全ての世代に共通した呼びかけです。
 仕事、家事、通勤、通学、運動など日常生活のあらゆる場面で、今より少しでも多く体を動かす(例えば10分多く歩く)ことが、メタボリックシンドローム(以下メタボ)をはじめとする、生活習慣病や脚腰の機能の衰え(ロコモティブシンドローム)、うつ病、認知症などのリスクを下げることがわかっています。
 この取り組みが進められている背景には、日本人の運動不足が改まっていない現状があります。平成9年と21年の比較では、15歳以上の1日の平均的歩数が男女とも約1,000歩(1日約10分の身体活動量に相当)も減少していたのです(厚生労働省平成23年「健康日本21最終評価」より)。
 また、さまざまな研究から、1日の身体活動量を今より約10分増やすと、生活習慣病やがん、ロコモ、認知症などになるリスクを3.2%減らすことができるともいわれています。ちなみに、ここでいう身体活動とは、日常生活での労働、家事、通勤・通学などの生活活動と、体力の維持・向上を目指して継続的に行うスポーツなどの運動とを合わせたものです。

1日合計60分、元気に体を動かそう

 毎日今より10分多く体を動かすには、「いつ」「どこで」「どのように」できるか考えてみましょう。通勤時には電車やバスの利用を減らして歩き、エレベーターやエスカレーターの利用を減らして階段を使うのもよいでしょう。職場では、コピー取りやトイレなどで席を立ったら、素早く動くようにしてみては。ランチで出かけるならば、できるだけ遠い店まで歩いて行くのもよいでしょう。
 休日の外出はマイカーの運転をグッと我慢して、短い距離なら徒歩や自転車で。家でテレビを見ているときは、その場でできる筋肉トレーニングやストレッチングをやってみてください。スポーツクラブや運動施設などでスポーツや筋力トレーニングに取り組めば、運動効果はより高まります。そこまでしなくても、散歩やウインドウショッピングを楽しむことでプラス10は達成できそうです。
 プラス10で目指すところは、64歳以下なら元気に体を動かす時間を1日の合計で60分以上の達成。これは歩数に換算すると8,000-1万歩に相当します。65歳以上なら、横になるとか座ったままにならないよう、どんな動きでもよいのでじっとしていない時間を1日合計で40分達成すること。これらの時間は、それぞれのライフスタイルに合わせ、短い時間を積み重ねた合計でもOKです。
 ことさらに構えなくても、軽い気持ちで「プラス10」を始めてください。

森谷 敏夫 先生

監修者 森谷 敏夫 先生 (京都大学大学院 人間・環境学研究科 応用生理学研究室教授)
1980年、南カリフォルニア大学大学院博士課程修了(スポーツ医学、Ph.D.)テキサス大学、テキサス農工大学大学院助教授、京都大学教養部助教授(准教授)、カロリンスカ医学研究所国際研究員(スウェーデン政府給付留学)、米国モンタナ大学生命科学部客員教授などを経て、1992年、京都大学大学院人間・環境学研究科助教授(准教授)、2000年から現職就任。専門は応用生理学とスポーツ医学。国際電気生理運動学会会長、アメリカスポーツ医学会評議員、日本運動生理学会理事ほか、複数の要職兼務。主な著書は『メタボにならない脳のつくり方』『人は必ず太る しかし 必ずやせられる』ほか。