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子どもの体に異変あり―小児期メタボが増加中

子どもの体に異変あり―小児期メタボが増加中

 欧米型の食事や夜型の生活、運動不足などから、子どもの肥満やメタボリックシンドロームが増えています。見た目は太っていないのに血糖値や血圧が高い子どもも目立ち、若年での動脈硬化や生活習慣病の進行が懸念されています。子どものころから正しい生活習慣を身につけ、成長期を過ごすことが重要です。

メタボの最大要因は肥満。10人中2人以上が肥満児

 いまやメタボリックシンドローム(以下メタボ)は、大人ばかりでなく子どもでも問題となっています。メタボをもたらす最大の要因は肥満ですが、これは子どもの場合も同じ。さらには、見た目には太ってはいないけれど、血糖値や血圧が高い子どもがいることも指摘されており、専門家の間で危機感がもたれています。
 厚生労働省の調査によると、太りぎみ・肥満とされる子ども(6~14歳の割合)は、男児は15.4%、女児は13.2%を占めています(平成24年国民健康・栄養調査)。肥満による健康への影響が、大人だけの問題ではなくなっていることを示しています。

 成長期である子どもの肥満の判定には、「BMI(体格指数)=体重kg÷身長m÷身長m」ではなく、肥満度が用いられます。肥満度(%)は、「(実測体重kg-標準体重kg)÷標準体重kg×100」で計算します。
 幼児は肥満度が15%以上で肥満、小学生以上は20~30%が「軽度肥満」、30~50%が「中等度肥満」、50%以上で「高度肥満」と判定されます。肥満と判定された子どものうち約70%は、成人後にも肥満になるといわれます。とくに高度肥満の子どもは、将来、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などになる可能性が高いと警告されています。

小児期メタボの診断基準も作られる

 子どもでも肥満度が高いと血圧・血糖値・中性脂肪値の上昇や、HdLコレステロール(善玉コレステロール)値の低下などがみられ、まさにメタボに陥っている可能性が高いことが分かってきました。
 そこで、厚生労働省の研究班によって「小児期メタボリックシンドロームの診断基準(6~15歳)」が作られました。診断の基準は次のとおりです。

(1)腹囲
 小学生は腹囲が75cm以上、中学生は80cm以上、もしくは腹囲身長比(腹囲cm÷身長cm)が0.5以上だと、内臓脂肪型肥満が疑われます。
 ちなみに、小学生を対象とした小児肥満対策のための調査では、腹囲身長比が0.5以上の子どもは約20%いると報告されています。内臓脂肪が蓄積すると、子どもでも大人と同じように動脈硬化が起こることが明らかになっています。そんな小学生が5人に1人いるというのは、深刻な事態といえるでしょう。

 小児期メタボの診断基準では(1)に加えて、以下の(2)~(4)の3項目のうち、2項目以上が該当すれば小児期メタボと診断されます。

(2)中性脂肪が120㎎/dL以上、もしくは、HdLコレステロールが40㎎/dL未満
(3)収縮期(最大)血圧が125mmHg以上、もしくは、拡張期(最小)血圧70mmHg以上
(4)空腹時血糖値が100㎎/dL以上

親子でメタボ対策を考えよう

 小児期メタボを招く要因は、生活習慣にあります。朝食の欠食、運動不足、長過ぎるスクリーンタイム(テレビの視聴、パソコン操作、携帯型ゲームで遊ぶなどで費やす時間)、睡眠不足などが指摘されています。つまり、小児期メタボを防ぐための対策は明快です。

  • 早寝早起きを習慣にし、夜更かしをせずに睡眠を十分にとる
  • スクリーンタイムを短くし、毎日体を動かす習慣をつける
  • 1日3回きちんと食事をとり、間食をとり過ぎない
  • 食べ物のエネルギー、炭水化物、脂質、タンパク質、ビタミンなど正しい栄養の知識を学ぶ
  • 学んだことを楽しく、継続的に実践できるように親子で取り組む

 これらは大人のメタボ対策と、ほとんど共通しています。いまや、親子でメタボ対策を考えなければいけない時代になったといえるでしょう。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。