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不規則生活で尿たんぱく陽性に。腎臓が悲鳴を上げているのかも

不規則生活で尿たんぱく陽性に。腎臓が悲鳴を上げているのかも

 不健康な生活習慣を続けていると、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病が原因で、CKD(慢性腎臓病)を発症することがあります。CKDは、進行すると腎不全や脳卒中、心筋梗塞などを引き起こしかねない、危険な病気です。
 ここでは、Cさん(40代男性)の事例をもとに、尿たんぱく陽性の人が気をつけたいポイントを紹介します。

特定健康診査(メタボ健診)では「尿たんぱく」も要チェック

 数年前に、夜勤などの多い仕事に変わった、40代の男性Cさん。あまり家庭で食事ができず、高塩分・高エネルギーの市販のお弁当やインスタント食品で済ませてしまいがち。お酒はあまり飲まないものの、たばこは手放せません。
 家族から「最近お腹がヤバいんじゃない」と言われ、実際にメタボ健診を受けたところ、腹囲が判定値ギリギリの84cmという結果でした。
 さらに、初めて「尿たんぱく」が「+」(陽性)と出て、医療機関で検査が必要という判定に。しかし、特に体調不良などはないため、Cさんは半信半疑です。

自覚症状はほとんどない、腎臓の異常。CKDは気づかないうちに進む

 尿たんぱく陽性となるのは、腎臓を通過する前に原因がある場合、腎臓に原因がある場合、腎臓から膀胱に至る部分に原因がある場合があります。
 腎臓は背中側の両方にある大豆のような形をしている臓器ですが、その中の糸球体(しきゅうたい)と呼ばれる部分で血液をろ過して尿をつくり、老廃物を体の外へ出す働きをしています。通常、血液中のたんぱく質は尿中にはほとんど出てきませんが、腎臓の働きが悪くなると尿にたんぱくが漏れるようになります。
 尿たんぱく陽性の状態と、腎臓の血液ろ過能力を表す「血清クレアチニン値」の異常のいずれか、または両方が3カ月以上続くと、腎臓に問題があるCKD(慢性腎臓病)と診断されます。
 CKDは、腎機能が60%以下に低下した状態ですが、初期にはほとんど症状がないため、自覚のないまま放置してしまいがちです。しかし、治療や生活習慣の改善を行わずにいると、ゆっくりと進行し、むくみや貧血、めまい、疲れといった症状が出たころには腎不全になっている場合がほとんどです。腎不全では、人工的に血液のろ過作業を行う人工透析治療が必要となり、4~5時間かかる治療を週3回ほど続けることになるため、本人にも家族にも負担が大きくなります。
 また、CKDの人は脳卒中や狭心症・心筋梗塞を発症するリスクや、それによる死亡リスクが高いこともわかっています。それらの危険な病気を引き起こす前に、早めに悪化を食い止めることが大切です。

メタボを招く不健康な生活習慣がCKDも引き起こす

 CKDを引き起こす原因は、もともと腎疾患がある場合、そして最近増えてきているのがCさんのような腎臓に負担をかける生活習慣や喫煙、肥満です。すでにメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と判定されている人や、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症に当てはまる人は、特にCKDの発症リスクが高く、悪化もしやすいので要注意です。
 次のような生活習慣の改善とともに、メタボ健診などで定期的に尿検査や血液検査を受け、CKDを予防しましょう。

  • 禁煙する
     たばこを吸っている人は、一刻も早く禁煙を。自力で難しいようであれば、医療機関の禁煙外来を利用しましょう。
  • 減量し、適正体重を保つ
     腹八分目を心がけ、肉類や脂っこい食品を控えめに。甘いものや炭水化物のとりすぎにも注意しましょう。肥満の改善にはカロリーと糖質が重要であることがわかっています。 また、ウオーキングや軽めの体操などの有酸素運動を取り入れたり、日常生活の中で体を動かす機会を増やしたりして、運動不足を解消することも重要です。
  • 塩分を控える
     外食するときや、店で弁当や惣菜、食品を買うときには、塩分の少ないものを選びましょう。家庭では薄味を心がけ、調味料のかけすぎ・つけすぎに注意しましょう。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。