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突然の激痛! フットサルで体を動かしていたのに「痛風」に

突然の激痛! フットサルで体を動かしていたのに「痛風」に

 風が吹くだけで痛いほどの激痛で知られる「痛風」は、血中に尿酸という物質が増えすぎる「高尿酸血症」によって起こります。高尿酸血症はほかの生活習慣病を合併しやすく、メタボあるいはメタボ予備群の人は特に注意が必要です。 ここでは、Dさん(30代男性)の事例をもとに、尿酸値高めの人が気をつけたいポイントを紹介します。

食生活の乱れやお酒の飲みすぎ、激しい運動などは、尿酸値を上げやすい

 肥満解消のため、休日にフットサルを始めた、30代男性のDさん。運動していることを言い訳に、フットサル後は仲間たちと楽しく飲み会を続けていたある日、足に激痛が走りました。慌てて通院したところ、血液検査で尿酸値が高いことがわかり、「高尿酸血症による痛風」と診断されました。
 発汗によって水分が不足したときや激しい運動のあとなどは、尿酸値が急上昇しがちですが、高尿酸血症の原因の大半は、偏った食生活やアルコールのとりすぎです。
 再び痛風発作が起こるのが怖くなったDさんは、しばらくフットサルも飲み会もやめ、服薬とともに生活習慣の改善と減量をすることになりました。

痛風は過剰な尿酸が結晶化し、関節にたまる病気。若い男性に増加傾向

 痛風は、体内でプリン体が代謝されたときにできる「尿酸」が増えすぎて結晶化し、関節などにたまることで炎症を起こす病気です。ある日突然、足の指のつけ根やくるぶし、膝などに激痛が走る発作が起こり、患部が赤く腫れて痛むのが特徴です。
 尿酸値が7.0mg/dl以上になると「高尿酸血症」と診断され、尿酸値が高い状態が長く続くと、そのような痛風発作を起こすことが多くなります。
 日本では、痛風になる人が年々増加しており、推計患者数は約106万人(厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査」)。最近では、20~30代の若い男性にも多く発生しています。
 尿酸は男性ホルモンの働きによって増えやすく、女性ホルモン(エストロゲン)の働きによって排泄しやすいので、推計患者数のほとんど(約99万人)が男性です。しかし、女性でも閉経後は痛風になる人が増えてくるので、注意しておきましょう。
 また、痛風・高尿酸血症は遺伝性があるので、家族にこの疾患がある場合は、気を付けましょう。

「尿酸値高め」を改善しなければ再発し、さまざまな合併症の危険も

 痛風発作の激しい痛みは徐々にやわらぎ、2週間ほどで治まりますが、尿酸値が高い状態を改善しないかぎり、1年以内に発作が再発することが多くなります。しかも、発作の間隔は次第に短くなっていき、痛みが強くなることもあります。
 また、痛風・高尿酸血症をほうっておくと、高血圧や糖尿病、脂質異常症などにもなりやすいことがわかっています。それらの病気が動脈硬化を促進させることはよく知られていますが、高尿酸血症も、動脈硬化を進める要因となると考えられています。そのため、高尿酸血症とほかの生活習慣病を合併すると、動脈硬化が一層進み、心筋梗塞や脳梗塞など、命にかかわる病気のリスクが高まってしまいます。
 また、高尿酸血症は、結晶化した尿酸のかたまりが尿路に詰まることで「尿路結石」を引き起こしたり、結晶化した尿酸が腎臓内に沈着することで「慢性腎臓病(CKD)」のような腎障害を引き起こしたりします。
 尿酸値の検査は、特定健康診査(メタボ健診)の必須項目ではありませんが、メタボリックシンドロームと診断された人や肥満の人は、特に注意が必要です。

肥満を解消し、水分をよくとって、生活習慣の改善を

 プリン体を多くとると痛風になりやすいと聞いたことのある人は多いでしょう。それ以外にも、以下の点に注意して生活習慣を改善しましょう。

  • アルコールは適量を
     アルコールが肝臓で分解されるときには、尿酸がたくさん作られます。また、アルコール自体にもプリン体が含まれているので、1日にビールなら中びん1本、ワインならグラス2杯弱、日本酒なら1合程度の適量を守りましょう。
  • プリン体の多い食品や高脂肪・高たんぱくの食事を控える
     レバーや干物など、プリン体の多い食品の過剰摂取は、尿酸を増やすのでやめましょう。また、動物性たんぱく質を多く含む高エネルギーの食事は、尿酸値を上げるだけでなく、肥満にもつながります。栄養バランスとエネルギー量に注意しましょう。
  • 減量する
     脂肪が蓄積すると尿酸が作られやすく、排泄されにくくなります。肥満の人は、食生活の改善とともに、運動などで体を積極的に動かして減量しましょう。
     なお、息継ぎをせずに行うような激しい運動(無酸素運動)は、尿酸値を急上昇させるので、ウオーキングやジョギングなどの有酸素運動がよいでしょう。
  • 野菜やきのこ類、海藻を多くとる
     尿酸は尿が酸性に近いほど結晶化しやすく、アルカリ性に近いほど溶けやすくなります。野菜やきのこ類、海藻は、大豆などは尿をアルカリ化するので、積極的にとりましょう。
  • 水分をしっかりとる
     水分を多くとると、血液中の尿酸が薄まるとともに、尿酸の排泄が促されます。特に、発汗量が多くなる暑い時期や運動前後、入浴前後などは、しっかりと水分(糖分を含まない水かお茶)をとりましょう。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。