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若い女性は特に注意! やせすぎもさまざまな病気を招く

若い女性は特に注意! やせすぎもさまざまな病気を招く

 肥満が生活習慣病のリスクを高めることは広く知られていますが、やせすぎもまた健康にさまざまな悪影響をもたらします。特に若い女性のやせすぎは、本人だけでなく生まれてくる赤ちゃんにも影響が及びます。
 ここではJさん(20代後半の女性)の事例をもとに、やせすぎの人が気をつけたい生活習慣改善のポイントを紹介します。

やせているのはうれしいけれど、月経不順が気になる

 20代後半の女性Jさんは子どもの頃からやせ型で、少食でもないのに全く太りません。肥満度を示す指標であるBMI(体重kg÷身長m÷身長m)が18.5未満の人はやせすぎとされますが、JさんはBMI 17.8。同性の友人からは羨ましいといわれ、自分でもやせているのはよいことと思っていました。
 しかし、最近月経不順が続いており、妊娠を希望しているので気になります。

若い女性のやせすぎは不妊や骨粗しょう症のリスクを高め、赤ちゃんにも影響

太っている人が生活習慣病になりやすいことはよく知られていますが、やせすぎもまた健康に悪影響をもたらすことがわかっています。
 国内外の大規模研究によって、BMIは高くても低くても死亡率が高くなることが明らかになっています(「食事はいつも麺類やカレー、ファストフード。やせててもNG!?」)。BMIが低い人の死亡率が高い原因として、栄養不足、免疫力が弱く感染症にかかりやすい、血管壁が弱く脳出血を引き起こしやすい、などが考えられています。

 厚生労働省の「平成25年国民健康・栄養調査報告」によると、BMI18.5未満の「やせ」に当たる女性は、成人女性全体の12.3%で、過去最高となりました。年代別にみると、20代がもっとも多く21.5%。30代では17.6%、40代でも11.6%が該当しています。
 特にJさんのような若い女性のやせすぎで問題になるのは、女性ホルモン分泌の減少です。それによって月経不順や無月経が起こって不妊の原因になったり、若いうちから骨量が減少して将来骨粗しょう症になるリスクも高まります。さらに妊婦がやせすぎていると、赤ちゃんが低体重になりやすく、低体重の赤ちゃんは将来生活習慣病になるリスクが高いことがわかっています。

1日3食規則正しい食事と適度な運動で標準体重を目指そう

 やせすぎの人は、次のような生活の工夫で標準体重(BMI18.5以上25未満)を目指しましょう。太っていない人は、不必要な食事制限を行わないようにしましょう。

  • 3食規則正しく食べる
    1食抜くと1日の摂取エネルギーが不足しがちに。主食(ごはん、パンなどの炭水化物)、主菜、副菜がそろった栄養バランスのよい食事を1日3回しっかり食べましょう。
  • 肉・魚もしっかり食べる
    良質なたんぱく源である肉や魚、豆・大豆製品は体をつくる材料になります。主菜にはこれらをしっかり摂りましょう。
  • 鉄分を十分に摂る
    多くの女性に鉄分不足がみられ、貧血が起こったり不妊にもなりやすいことが指摘されています。月経のある20~40代の女性では、鉄は1日に10.5mg摂ることを目標にしましょう。ヘム鉄を多く含む赤身の肉やレバー、ほうれん草などを意識して摂り、ビタミンCも一緒に摂るようにすると鉄分の吸収が高まります。
  • ナッツ類で栄養補給を
    くるみやアーモンドなどのナッツ類は高エネルギーでミネラルなどが豊富に含まれます。3食しっかり食べても太れない人や、食事量をあまり食べられない人は、ナッツ類を間食にとるとよいでしょう。
  • 適度な運動を習慣に
    運動で筋肉がつくと、体重が増えるだけでなく、骨粗しょう症予防や免疫力アップにつながります。エスカレーターでなく階段を使うなど、普段から積極的に体を動かすことも有効です。

 なお、食べても吐いてしまったり、食欲がまったくない、食べているのにやせていくといった場合は、他の病気の可能性もあるので医療機関に相談してください。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。