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食事を減らしているのに太る……栄養不足のせいかもしれません

食事を減らしているのに太る……栄養不足のせいかもしれません

体重が増えると、摂取カロリーを減らしてやせようという人は多いかもしれません。しかし単純に摂取カロリーを減らすと、逆に太りやすい体になってしまうことがあります。
ここではMさん(30代女性)の事例をもとに、どうすれば健康的にダイエットできるのか、そのポイントを紹介します。

「1食抜き」は食べすぎや間食につながりやすい

30代の女性Mさんはこれまで標準体重を保ってきましたが、この頃年齢のせいか体重と体脂肪が少しずつ増えてきました。慌てて朝食を抜いたり、野菜ジュースだけで済ませたりしてみましたが効果がありません。そこで肉類をなるべく摂らないようにしてみたところ、やはり効果がないだけでなく、貧血気味になってきました。

体重が増えると、朝食など1食抜いてやせようという人が多いかもしれません。しかし1食抜くと空腹から次の食事で食べすぎたり、つい間食したりしてしまいがち。実際Mさんは仕事中無意識にお菓子をつまんでいました。また、食事を抜くと空腹時間が長くなり、体が脂肪をためこもうとするため太りやすいといわれます。

食事を抜かなくても、単純に食事量を減らしてしまって必要な栄養素が不足すると、かえって体が脂肪をためこむことがあります。食事で摂った糖質や脂質をエネルギーに変えるにはビタミンB群が必要ですが、ビタミンB群は肉や魚、豆類などに多く、これらが不足すると体脂肪が増えやすくなります。

ダイエットのために肉類は敬遠されがちですが、肉類は体に不可欠な必須アミノ酸が豊富な良質のたんぱく源です。それを極端に減らしてしまうと、筋肉が減って基礎代謝が低下し、脂肪が燃えにくく太りやすい体になってしまう恐れがあります。

また、必須アミノ酸が不足すると、血管の弾力性がなくなる、肝臓の働きが低下して女性ホルモンのバランスが崩れる、肌が荒れたり髪が傷むなど、体中の健康に影響します。Mさんが貧血気味になったのも、肉類に豊富なたんぱく質と鉄が不足したためと考えられます。

このように間違ったダイエットをすると、体に必要なビタミン、ミネラル、微量元素、必須アミノ酸や必須脂肪酸が欠乏し、かえって太りやすくなるだけでなく、体のあちらこちらに悪影響が及んでしまいます。

摂取カロリーを抑え気味に栄養バランスを心がけ、運動を習慣に

健康的なダイエットのために、次のようなことを心がけましょう。

●極端なダイエットは避けて栄養バランスよく

肉抜き、糖質抜き、○○だけ食べるなど極端なダイエットは栄養バランスを崩して健康に害を及ぼす恐れがあります。エネルギーや糖質は過剰なのに、必要なビタミンやアミノ酸が足りないなど、過剰と不足が同居している場合があります。主食は精白度の低いものにしてよく噛んで食べる、たんぱく源では肉は脂質の少ないものを選んで魚や大豆を増やす、野菜はたっぷり摂るようにすると、栄養バランスよく摂取エネルギーを抑えることができます。

●食べているものを把握して無意識の間食を防ぐ

食べたり飲んだりしたものをすべて書き出してみると、思っている以上にお菓子や甘い飲み物を摂っていることに気づくことがあります。健康に良いと思って飲んでいる野菜ジュースも果物が入っていると意外に糖質が多くなっている場合があります。甘いものは量を決めて食べ、飲み物はなるべくお茶など糖分を含まないものを飲みましょう。

●無理のない継続的な運動習慣を

運動はどのような運動でも効果的といわれており、しないよりは少しでもやったほうがよいです。ランチを少し遠いところに食べに行き、急いで職場に戻ることで食後の運動にする、お腹を出したりひっこめたりしながら歩く、つり革につかまってつま先立ちをするなど、日々のちょっとした工夫を積み重ねてください。ウォーキングも「さっさか歩き」と「ゆっくり歩き」を数分間ずつ交互にくり返すインターバル速歩(インターバルジョギング)が、肥満解消に効果的といわれています。できそうもない運動計画をたてるよりも、今できていることをもう少し多く、長く、強くやってみるほうが成功する確率が高いです。できることから始めてください。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。