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たばこをやめると太る、ってホント?

たばこをやめると太る、ってホント??

本当です。
喫煙はメタボ(メタボリックシンドローム、内臓脂肪症候群)を悪化させますが、禁煙にチャレンジしたところ、かえって太ってしまったという人は少なくないようです。 しかし、禁煙には、喫煙を続けるよりもはるかに大きなメリットがあるので、ぜひ、たばこときっぱりサヨナラしてください。

増えた体重も1年で元に戻ることが多い

禁煙した後には、体重が平均して2~3kg増えるといわれます。

体重が増える原因はいくつか考えられます。習慣的に喫煙してきた人にとって、禁煙は大きなストレスのはず。口さみしさやイライラから、つい間食してしまうということがあるかもしれません。また、たばこの煙に含まれているニコチンの影響で鈍くなっていた味覚が、禁煙によって改善して食欲が戻るため、という指摘もあります。

禁煙を始めたら、しばらくは食事の量に注意するとか、運動を習慣的に行ってエネルギーを消費するなどの心がけも必要でしょう。そのようなことで、増えた体重も多くは1年で元に戻るともいわれます。

喫煙はそれ自体が動脈硬化の原因になる

ここで、たばこがメタボに及ぼす影響を改めて確認しておきましょう。

まず、喫煙は動脈硬化の原因になります。たばこの煙には多くの有害物質が含まれています。そのなかでも代表格のニコチンは、動脈硬化を防ぐ働きのあるHDLコレステロールが体内でつくり出されるのを妨げます。また、血液を固まりやすくする作用のあるホルモンの分泌を促したり、血管を収縮させて血圧を上昇させたりと、動脈硬化を進行させる数々の作用を持っています。

一酸化炭素も主な有害物質の1つ。血液中のヘモグロビンと結びついて血液の酸素不足を引き起こし、さらに血管内皮細胞を傷つけて動脈硬化を進行させます。

喫煙で発生する活性酸素は、悪玉といわれるLDLコレステロールよりもさらに悪玉度が強い変性LDLをつくり出し、動脈硬化をいっそう悪化させます。

また、喫煙がメタボと強い関係があることもわかってきました。日本人男女約5,000人を対象に、メタボと喫煙状況の関連を分析した研究によると、喫煙しない人がメタボである危険度に比べ、1日の喫煙本数が20本未満でも危険度は1.98倍、40本以上だと3.40倍であることがわかっています。

喫煙は、若さを保つのに重要な性ホルモンの産生を抑えたり、働きを邪魔したりしますから、「究極の老化因子」とも言えます。そして、その影響が自分のみならず、周囲の人にも受動喫煙として及ぼされることに大きな問題があります。

*Ishizaka, Nobukazu, et al. "Association between cigarette smoking, metabolic syndrome, and carotid arteriosclerosis in Japanese individuals." Atherosclerosis181.2 (2005): 381-388.

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。