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やせ型で正常体重でも心血管疾患リスクは高くなる、ってホント?

やせ型で正常体重でも心血管疾患リスクは高くなる、ってホント?

本当です。
見た目にはどちらかというとやせ型。肥満判定のモノサシとして使われるBMI(体格指数)の判定でも体重は正常範囲。内臓肥満の指標とされている腹囲も正常。――こんな一見何の問題もない人でも、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中)のリスクが高くなることがあります。

腹囲やBMIがセーフでも危険因子が重なると危ない!

特定健診(メタボ健診)の特定保健指導判定値は、腹囲が男性85cm、女性90cm以上またはBMI(体重kg÷身長cm÷身長cm)25以上となっています。

ところが、腹囲やBMIが基準値以下であっても肥満の人と同様、あるいはそれ以上に心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中)を発症する危険が高いことがあるのです。厚生労働省研究班では、男女約3万人を対象に、保健指導対象者のレベルと心血管疾患の発症についての研究を行っていました(門脇孝ら、「特定健診・保健指導におけるメタボリックシンドロームの診断・管理のエビデンス創出に関する横断・縦断研究」平成22~26年度 )。

それによると、腹囲やBMIが基準値以下であっても、危険因子(高血糖、高血圧、脂質異常、喫煙習慣)が1つ以上ある場合、腹囲やBMIが基準値以下かつ危険因子が0のグループに比べて、心血管疾患の発症率が約2倍、特に、メタボの危険因子が2つ以上ある女性のグループは発症率が2.5倍にもなりました。むしろ腹囲やBMIが高くても、危険因子がない場合は、発症率には差がないことがわかったのです。

また、心血管疾患にどの因子が主に影響するかという研究では、次のような解析結果となりました。

男性 年齢、喫煙、腹囲、HDLコレステロールの低値、血糖  
女性 年齢、喫煙、HDLコレステロールの低値、血糖  

HDLコレステロール(HDL-C)は、いわゆる善玉コレステロールです。女性の場合、腹囲やBMIの影響は男性ほどはっきりしないようです。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。