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やせている人も生活習慣病に! 「第3の脂肪」にご用心

やせている人も生活習慣病に! 「第3の脂肪」にご用心

 皮下脂肪、内臓脂肪に次ぐ「第3の脂肪」という存在をご存じですか。本来なら脂肪が溜まらない臓器に、脂肪が過剰に溜まることをいい、「異所性(いしょせい)脂肪」と呼ばれます。この第3の脂肪はやせている人にも蓄積し、さまざまな病気の原因になることがわかってきました。

脂肪細胞に収容しきれないものが第3の脂肪に

 どうして脂肪が溜まらないとされてきた所に脂肪が溜まるのか、その理由はまだ明らかになってはいませんが、以下のような見方があります。

 食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足などで余ったエネルギーは体内で中性脂肪に変換され、まず皮下脂肪に貯えられます。この容量は人それぞれにあらかじめ決まっていて、それを超えると次には内臓脂肪に回されます。中性脂肪を溜め込んで内臓脂肪の脂肪細胞は肥大化しますが、この容量も人によりあらかじめ決まっていて、そこでも収容しきれないものが本来は溜まらないと考えられていた部位に溜まり、異所性脂肪すなわち第3の脂肪になる――というものです。*1

*1 小川佳宏編『異所性脂肪《メタボリックシンドロームの新常識》 第2版』日本医事新報社、2014

臓器の細胞内にも蓄積してさまざまな健康障害が

 第3の脂肪は心臓、肝臓、骨格筋、膵(すい)臓など、わかっているだけで14カ所の臓器に溜まることが報告されています。しかも、それらの臓器の周囲だけでなく細胞の中にも溜まることがわかってきました。

 本来、脂肪細胞ではないこれらの細胞の中に第3の脂肪が溜まると、さまざまな健康障害の原因になってしまうといわれています。蓄積した臓器への障害をもたらすだけでなく、血糖、血圧、炎症などにも影響を及ぼすことがわかってきたのです。

 例えば、心臓の周囲に第3の脂肪が蓄積するとどうなるでしょうか。心臓の周りの脂肪は、本来は血管を拡張させるアディポネクチンという善玉のホルモンを分泌することがわかっています。ところが、脂肪がある程度の量を超えると、この善玉ホルモンが減って血管は収縮しやすくなってしまいます。さらには超悪玉といわれるホルモンが分泌されて、血管の炎症を招くこともわかってきました。蓄積が過剰になれば心臓をとり巻く冠動脈の動脈硬化も招きかねません。また、脂肪が心筋細胞の中にまで入り込むと心臓の収縮力が低下する可能性も指摘されています。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。