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やせている人も生活習慣病に! 「第3の脂肪」にご用心

やせている人も生活習慣病に! 「第3の脂肪」にご用心

やせている人でも、肝臓や骨格筋に脂肪が溜まると生活習慣病に

 さらに、日本をはじめアジア人の場合、BMI(体格指数、体重kg÷身長m÷身長m)が25以下の非肥満者にも、生活習慣病が多いことが問題視されており、その原因に第3の脂肪がかかわっていることが明らかになってきました。

 わが国のメタボリックシンドロームの定義は、内臓脂肪を必須としており、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm女性90cmを超え、高血圧・高血糖・脂質代謝異常の3つのうち2つがあること、とされています。内臓脂肪から出されるさまざまな因子が、インスリンという血糖を下げるホルモンが正常に働かなくなる「インスリン抵抗性」を引き起こし、血圧や、糖、脂質代謝に悪影響を及ぼすとされていました。

 しかし、最近の日本の研究では、非肥満の人でも、肝臓や骨格筋などに第3の脂肪が溜まると、メタボリックシンドロームの人と同様にインスリン抵抗性や局所での炎症が起こっていることがわかったのです。*2

*2 Takeno, K. et al. Relation between insulin sensitivity and metabolic abnormalities in Japanese men with BMI of 23–25 kg/m2. J Clin Endocrinol Metab 101, 3676–3684 (2016).

体力低下、運動不足、高脂肪食は太っていなくてもNG

 その研究ではさらに、骨格筋のインスリン抵抗性に関連する因子として、「体力の低下」「生活活動量の低下」「高脂肪食」が挙げられており、第3の脂肪であっても内臓脂肪であっても、メカニズムは大きくは違わないといえます。

 見た目には太っていない人も、血圧、糖代謝、脂質代謝の異常がある、脂肪肝がある、血管石灰化がある、などの場合は、内臓脂肪や第3の脂肪を減らす生活習慣が大切です。有酸素運動、無酸素運動を組み合わせて、基礎代謝を上げ、筋力をつけ、体力を維持・向上させましょう。日常的に歩数を増やす、食後に階段を登るなどして、週末には、ジョギングやテニス・ゴルフなどのある程度の強度の運動を行うことなどがおすすめです。また、油脂を多く含む食品の摂取や揚げ物を控えたり、脂肪蓄積を高める糖質を摂り過ぎないようにすることも重要です。

 当コーナーでは次回以降、それらの対策の詳細とともに「脂肪筋」「脂肪肝」について詳しく解説します。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。