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夏の飲み会、痛風発作を防いで楽しむポイント

夏の飲み会、痛風発作を防いで楽しむポイント

 かつて、患者の中心は中年男性だった痛風。過食傾向にある近年では、20~30代の若い男性にも珍しくありません。発汗で体が水分不足になるうえに、アルコールとのおつき合いも増えるこの時季は、特に痛風発作を招きやすいので要注意です。

過剰な尿酸が結晶化して足などの関節に溜まる

痛風をもたらすのは尿酸で、これは体の新陳代謝やエネルギー消費の結果作られた老廃物です。通常、一定量を超えた尿酸は体外に排泄されるのですが、何らかの原因で排泄量が低下するとか、尿酸が過剰に作られると血液中に尿酸が増える高尿酸血症の状態になります。

過剰な尿酸が結晶となって関節に溜まり、衝撃などではがれると、それを異物と認識した白血球が排除しようとして炎症反応が起こります。この結果、患部が赤く腫れて「風に当たっても痛い」と形容される激痛の発作に見舞われます。足の親指のつけ根や甲、くるぶし、膝など血流が弱く冷えやすい部位に起こりがちです。

なお、痛風の発症しやすさには個人差があり、特定の遺伝子が関係していることが明らかになっています。発症しやすいリスクを持った人を早めに見つけられれば、予防や治療に役立つと期待されています。

* Sakiyama M, Matsuo H, Akashi A, et al.: Independent effects of ADH1B and ALDH2 common dysfunctional variants on gout risk. Sci Rep. 2017 May 31;7(1):2500.

アルコールそのものに尿酸値を上げる働きが

尿酸はプリン体という物質から作られます。このため、プリン体を含む食品には警戒の目が向けられます。よく知られているのはビール。ワインやウイスキーの10倍ほどもプリン体が含まれているといわれます。このため、飲み会などでは尿酸値を気にする人から敬遠され、プリン体をほとんど含まない焼酎などに人気が集まります。しかし実は、アルコール自体に尿酸の排泄を妨げる働きがあるので、ビールに限らず適量を守りましょう。

また、食品の重量当たりの細胞数が多いほどプリン体が多いとされ、酒のつまみになることの多い白子、レバー、魚介類の干物や乾き物などは要注意です。プリン体はうまみ成分でもあるので、おいしいごちそうをつつきながらアルコールをグビグビやるのは、体内で尿酸を大量生産するようなものかもしれません。

尿酸は尿がアルカリ性に近いほど溶けやすいので、尿をアルカリ化する野菜やきのこ類、海藻類、大豆などを積極的に摂るようにしましょう。

肥満も高尿酸血症のリスクなので、太っている人は食生活を見直すとともに、ウオーキングやジョギングなど有酸素運動を習慣にして減量する必要があります。ただし、激しい運動は痛風発作を誘発する危険があるので避けましょう。

また、特に汗を多くかく時季は痛風発作が起こりやすいので、水やお茶で十分に水分を補給し、尿の量を増やして尿酸の排泄を促しましょう。1日約2L(運動するときはそれ以上)を目安にし、果糖を含む清涼飲料水は尿酸値を上げるので控えてください。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。