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女性のやせ過ぎ・栄養不足は、生まれた子どもの生活習慣病を招く!?

女性のやせ過ぎ・栄養不足は、生まれた子どもの生活習慣病を招く!?

 食料事情の豊かな日本にあって、20歳代女性の5人に1人以上が不健康な低栄養状態になっています。低栄養状態は自分の健康へ悪影響を及ぼすだけでなく、妊娠してもこの状態は続く傾向があり、生まれてくる赤ちゃんが将来、生活習慣病になるリスクが高くなることもわかっています。不適切な「やせ」願望は見直す必要があるでしょう。

「やせ」は不妊や動脈硬化、骨粗しょう症のリスクを高める

厚生労働省の「平成28年国民健康・栄養調査」によると、BMI(体格指数、体重kg÷身長m÷身長m)が18.5未満の「やせ」の者の割合は男性より女性が高く、特に20歳代女性ではこの10年間だけでもずっと20%台が続いています(平成28年は20.7%)。

やせ過ぎ・栄養不足は若い女性の体にさまざまな悪影響を及ぼします。女性ホルモンの分泌が低下し、月経不順や無月経を招いて不妊や動脈硬化のリスクが高まります。また、女性の骨量は20歳前後に最大になりますが、この時期にやせていると女性ホルモンやカルシウムの不足から最大骨量が少なくなり、将来の骨粗しょう症や骨折により寝たきりになるリスクも高くなる恐れがあります。

鉄や葉酸などの不足も心配

若い女性に「やせ」が目立つのは、単純に言って「食べない」ことが原因です。前述の調査で見ると、20歳代女性の平均エネルギー摂取量は1,631kcalで、食事摂取基準(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」)の1,950kcalを大きく下回っています(身体活動レベル「ふつう」の場合)。

食べないことにより、カルシウムのほか、鉄や葉酸などの栄養素も不足します。鉄は月経がある場合の20歳代の推奨量1日10.5mgに対して摂取量は6.5mgと大幅に不足しており、貧血のリスクを高めます。葉酸は不足すると、妊娠した際に赤ちゃんの先天奇形を招く恐れがあります。厚生労働省はその予防のため、妊娠前後に1日400μg(マイクログラム)の葉酸摂取を推奨していますが、実際の摂取量は20歳代女性で229μg、30歳代女性も240μgで、大きく不足しています。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。