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女性のやせ過ぎ・栄養不足は、生まれた子どもの生活習慣病を招く!?

女性のやせ過ぎ・栄養不足は、生まれた子どもの生活習慣病を招く!?

赤ちゃんに作られた病気の素因は3世代も続く

悪影響でさらに深刻なのは、本人だけでなく次世代の健康にも及んでしまうことです。やせた状態で妊娠して低栄養が続くと、低出生体重児(2,500g未満)の生まれるリスクが高まるのです。現代に低体重児が生まれる割合は、食料不足で栄養状態の悪かった第2次世界大戦直後より3割も多いということです。

出生体重が低いと、大人になって2型糖尿病や高血圧、心筋梗塞などになりやすいといわれます。また、腎臓の糸球体が少ないために腎臓の機能低下から腎不全になるリスクも高く、小児の慢性腎疾患(CKD)が増えているという指摘もあります。

遺伝子レベルでみると、受精時から妊娠中、そして乳児期は、赤ちゃんの個々の遺伝子の働きを調節するメカニズムが大きく決まる時期ですが、この時期の母親の栄養状態が赤ちゃんの将来の病気の素因を作ることに影響することがわかってきたのです。そして、病気の素因が作られると、その変化はその子どもだけでは終わらずに3世代も続いてしまうといわれています。

* 福岡秀興. 胎児期の低栄養と成人病(生活習慣病)の発症.栄養学雑誌, 2010, 68.1: 3-7.

必要な栄養素を過不足なく、タイミングよく摂ることを習慣に

若い女性にとってスリムな体形を維持することは強い憧れでしょう。しかし、低栄養状態は、自分自身の不健康を招くだけでなく、世代を超えて深刻な悪影響を及ぼす恐れがあることを理解しておきましょう。

前述の調査では、20歳代女性の2割が朝食を摂っていないか、サプリメント・菓子・果物のみなどで済ませていることもわかっています。最近では、「時間栄養学」も注目されており、カロリーというよりも必要な栄養素を過不足なく、しかもタイミングよく食べることが重要だと考えられています。若年期の健康は、「リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖にかかわる健康)」として大切であると同時に、自分自身だけでなく次世代の健康にもつながっていきます。さらに適度な運動もプラスして、よい生活習慣を獲得していきましょう。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。