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メタボの人に忍び寄る「CKD(慢性腎臓病)」。尿たんぱくを要チェック

メタボの人に忍び寄る「CKD(慢性腎臓病)」。尿たんぱくを要チェック

初期には自覚症状がないため、尿検査・血液検査が大切

CKDは、①腎障害がある:たんぱく尿や血尿がある、画像診断で異常所見がある、②腎機能が低下している:GFR(糸球体ろ過量、腎機能を評価する指標)が60mL/分/1.73m2未満 という状態が3カ月以上続くこと、と定義されています。

CKDを早期に見つけるためには、尿と血液の検査が必要で、片方だけでは見逃される可能性があります。尿検査で調べるのはたんぱく質の有無です。尿たんぱくが「1+」(陽性)以上だとCKDが疑われますし、糖尿病の場合は、さらに感度のよいアルブミン尿を調べることもあります。

血液検査で調べるのは筋肉からの老廃物であるクレアチニンの値ですが、男女では筋肉量が異なるので、GFRの計算式は男女で異なります。同じクレアチニン値でも女性のほうが腎機能が低下していることが多いので注意が必要です。

CKDの初期に自覚症状がないのは、腎臓内で老廃物などを取り除く糸球体という組織が一部損なわれても、他の糸球体が機能を補ってくれるからです。その補完機能でも支えられなくなるほど悪化したときに、だるさや食欲不振、頭痛、むくみ、動悸(どうき)・息切れ、吐き気などの症状が現れます。

特に高血圧、高血糖の人はCKDになりやすい。メタボ対策でCKDも予防を

CKDの危険因子には、糖尿病、高血圧、メタボ、肥満、喫煙、脂質異常症、高尿酸血症などが指摘されています。それらに当てはまる人がCKDを発症すると、心血管疾患のリスクが一層高まるので、治療に加えて生活習慣の見直しが大切です。また、薬によっては腎臓経由で排泄されることがあり、薬物性の腎障害にも注意が必要です。

わが国の中高年者におけるCKDは、高血圧による腎硬化症と、糖尿病による糖尿病性腎症が多いことがわかっています。そのため、2018年度から、特定健康診査(メタボ健診)の詳細な健診項目にクレアチニンの有無を調べる「血清クレアチニン検査」が追加されることになりました。血圧または血糖値が保健指導判定値以上で、医師が必要と認める人を対象に行われます。

減塩をはじめとする正しい食生活、家庭での血圧測定、肥満の予防・解消、禁煙、定期的な運動など、メタボ対策に取り組むことで、CKDを予防しましょう。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。