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小・中学生時代からの運動習慣が健康寿命を延ばすカギ!

小・中学生時代からの運動習慣が健康寿命を延ばすカギ!

 心身ともに大きく成長する小・中学生時代に、運動やスポーツを積極的に行うと、体を支える骨や筋肉が鍛えられることがわかっています。将来的にメタボやロコモを防ぎ、超高齢社会での健康寿命を延ばすことにつながるといえるでしょう。子どもたちの100歳まで使える体づくりを、今日から始めましょう。

子どもの体力や運動能力は低下傾向。運動をする子としない子の二極化も

スポーツ庁「平成29年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果について」によると、対象となった小学5年生、中学2年生ともに、ほとんどの種目でピーク時(昭和60年度)の平均値を下回っていることがわかりました。

子どもの体力や運動能力が低下している要因の1つとして、運動時間との関連が考えられます。1週間の総運動時間(保健・体育の授業を除く)が長い子どもほど、昭和60年度の平均値を上回っている割合が高い傾向がみられました。

また、小・中学生の運動・スポーツへのかかわり方の現状を見ると、「運動をする子ども」と「運動をしない子ども」の二極化があり、「運動嫌い」の小・中学生がいることも指摘されています。

子どもは本来、体を動かすことが好きなはずですが、それが嫌いに転じてしまうのは、体育の授業で跳び箱や鉄棒、縄跳びなどがうまくできず、苦手意識や劣等感を持ってしまうことがあるようです。学校体育は、みんなが楽しくできる授業、運動嫌いを作らない授業が望まれます。

年齢によっても望ましい運動は異なる。思春期前の女子はジャンプ運動で骨づくりを

もちろん、家庭での運動習慣や指導も大切です。子どもを積極的に外で遊ばせたり、スポーツ教室に通わせたりすることで、ある程度の運動時間を確保し、「体を動かすことは楽しい」という思いを育てましょう。

世界保健機関(WHO)は、心身の健康づくりのためには「5~17歳の子ども・未成年者は、1日当たり60分の中~高強度の身体活動を毎日行うこと」を推奨しています。とはいえ、アメリカの人類学者スキャモンによる「発育曲線」(0歳から20歳までの体の各器官の発育過程をグラフ化したもの)を見てみると、年齢に応じて望ましい運動も異なります。

例えば、10歳くらいまでは神経系の発達が著しいので、体のいろいろな動きを経験してリズム感や体の上手な使い方などを身につけることが大切です。そして10歳以降は、骨を丈夫にするために、骨に大きな負荷がかかる運動が重要で、それにはジャンプ運動がおすすめです。

特に女子では、初経が現れる前後に成長ホルモンや女性ホルモンの分泌が始まるので、骨の成長と密度を高めるのにいちばん重要な時期となります。海外のいくつかの研究では、思春期前のジャンプ運動が女子の骨塩量を増やすのに最適と報告されています。

女の子にとって思春期前は、大人の体になる前のいわば“おてんば”盛りのとき。この時期にジャンプ運動を含むいろいろな運動・スポーツ動作に取り組むことは、将来の骨粗しょう症の予防だけでなく、長い人生のなかで運動やスポーツを楽しむ習慣をつくることにも大きく影響するはずです。

中嶋 寛之 先生

監修者 中嶋 寛之 先生 (東京大学名誉教授、日本体育大学名誉教授)
1960年東京大学医学部医学科卒、同整形外科教室入局。65年東京大学大学院修了(医学博士)。80年に関東労災病院スポーツ整形外科を創設、初代部長就任。82年東京大学教養学部保健体育科教授、96年日本体育大学大学院教授を経て、2006年横浜市スポーツ医科学センター長(現在、同顧問)。スポーツドクター活動では、複数回のオリンピックで日本選手団本部ドクター、チームドクターとして帯同。著書は『新版スポーツ整形外科学』『スポーツ医学の立場からみた小学校の体育-100年耐用性のある運動器を育てるために』ほか多数。