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思春期の心身と脳にこそ、質の良い睡眠が必要

思春期の心身と脳にこそ、質の良い睡眠が必要

 日本人の睡眠時間は世界で最も短いといわれており、中高生を中心とした子どもの睡眠時間も短くなっています。成長期における睡眠不足は、心身に好ましくない影響を及ぼし、メンタル面での問題や生活習慣病が発生するリスクが高まることが指摘されています。睡眠への気配りは、運動や食事と並んで成長後の健康を左右する重要なテーマです。

睡眠時間の短縮が、思春期の子どものメンタルヘルスの問題を招く

思春期の子どもの平均睡眠時間をみてみると、中学生で8時間09分、高校生で7時間34分という調査データ(総務省統計局「平成23年社会生活基本調査」)があります。一方で、2000~2001年に全国の中高生を対象に行った調査*1では、1日の平均睡眠時間が6時間未満にとどまる中高生が30%以上もおり、学年が上がるほど短時間睡眠者が増えることがわかっています。

短い睡眠習慣が慢性的に続くと、意欲や記憶力の減退など精神機能への悪影響に加え、ホルモン分泌や自律神経の働きにも大きく影響し、成人であっても心身に支障をきたします。ましては成長段階にある思春期の子どもにとって、心身の健全な発達には適切な睡眠が欠かせません。

日本の中高生を対象にした調査*2では、睡眠時間が7時間未満か9時間以上だと、7~9時間睡眠の場合よりもメンタルヘルスに問題が多くなっており、このデータからは思春期の子どもには7~9時間の睡眠時間が望ましいと考えられます。

慢性的な睡眠不足は生活習慣病の原因にも

短い睡眠時間は肥満や糖尿病、高血圧、脂質代謝異常、虚血性心疾患といった生活習慣病の危険因子となることもわかっています。そのメカニズムとしては、睡眠が乱れることで食事や運動などのほかの生活習慣の乱れにもつながることや、食欲やエネルギーバランスにかかわるホルモンの分泌の影響などが考えられています。

3~12歳の子どもを対象にしたアメリカの研究*3では、就寝時刻が遅いこととその後の体重増加との関係が指摘されており、食事・運動だけでなく休養(睡眠)の調和もとれた生活習慣が、将来のメタボ(メタボリックシンドローム、内臓脂肪型肥満)につながるといえます。

 

監修者 兼板 佳孝 先生 (日本大学医学部社会医学系公衆衛生学分野 教授)
1998年日本大学大学院医学研究科医学研究科内科学専攻修了、2003年日本大学医学部 助手、2006年同専任講師、2008年准教授、2012年大分大学医学部教授を経て現職。社会医学系専門医・指導医、日本公衆衛生学会認定専門家、総合内科専門医、日本医師会認定産業医。