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思春期の心身と脳にこそ、質の良い睡眠が必要

思春期の心身と脳にこそ、質の良い睡眠が必要

ベッドでスマホから睡眠不足に

中高生の睡眠時間が短くなる背景には、生活スタイルの変化や勉強時間などもありますが、特に携帯電話やスマホ(スマートフォン)の普及が影響していることは明らかです。文部科学省が2015年に発表した「睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果」によると、小・中・高校生のいずれも、携帯電話やスマホとの接触時間が長いほど就寝時刻が遅くなっていました。それらとの接触時間が「1時間より少ない」と答えた子どもの81.3%が午前0時以前に就寝していたのに対し、「4時間以上」と答えた子どもでは46.6%となっており、半数以上が午前0時以降に就寝していたのです。

さらに、寝る直前まで情報機器(テレビやゲーム、携帯電話・スマホ、パソコンなど)に接触することが多い子どもほど、「朝、ふとんから出るのがつらいと感じること」がよくあり、睡眠の質の低下がみられました。

平日と土日で起床時間がずれると、体内時計のリズムを乱す

また、前述の調査では、学校がある日とない日で起床時刻が2時間以上ずれることが「よくある」「ときどきある」と答えた中学生は57%、高校生では64.8%にものぼり、日頃の寝不足を 土日の長い睡眠で取り返そうとする子どもが多くいることもわかりました。このような子どもは日常的に睡眠不足に陥っている可能性が高いと考えられます。実際、「起床時刻が2時間以上ずれることがよくある」と答えた子どもほど、午前中に授業中にもかかわらず眠くて仕方がないことがある割合が高くなっていました。

体内時計のリズムを正常にリセットするには、できるだけ一定の時間に起きること、朝起きたらなるべく早く太陽光を浴びること。そして、眠る前にはスマホやテレビ、ゲーム、パソコンなどの操作を避けて、睡眠時間を確保することが重要です。

文部科学省では、中高生向けに「早寝早起き朝ごはん」の大切さを啓発する資料を公表しています。それを利用するなどして、親子で、睡眠リズムを含めた正しい生活習慣づくりを心がけましょう。

参考文献

  • *1  Ohida T, et al. An epidemiological study of selfreported sleep problems among Japanese adolescents. Sleep. 2004;27:978-985.
  • *2  Kaneita Y, et al. Association between mental health status and sleep status among adolescents in Japan: A nationwide cross-sectional survey. J Clin Psychiatry. 2007;68:1426-1435.
  • *3 Snell EK, et al. Sleep and the body mass index and overweight status of children and adolescents. Child Dev. 2007;78:309-323.

 

監修者 兼板 佳孝 先生 (日本大学医学部社会医学系公衆衛生学分野 教授)
1998年日本大学大学院医学研究科医学研究科内科学専攻修了、2003年日本大学医学部 助手、2006年同専任講師、2008年准教授、2012年大分大学医学部教授を経て現職。社会医学系専門医・指導医、日本公衆衛生学会認定専門家、総合内科専門医、日本医師会認定産業医。