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たばこはがん、突然死、要介護にもつながる! 今すぐ禁煙を

たばこはがん、突然死、要介護にもつながる! 今すぐ禁煙を

 習慣的な喫煙が、本人ばかりか、たばこを吸わない周囲の人の健康をも蝕んでしまうことは周知の事実です。今年は受動喫煙対策を強化する改正健康増進法の成立やたばこ税の増税などがあり、禁煙を考えた人もいるでしょう。あなただけでなく、家族の健康を守るためにも、その考えをぜひ実行してください。

喫煙が原因のがん、循環器疾患、呼吸器系疾患などで亡くなる人は年間12.9万人!

わが国ではこの10年間、たばこを吸う人の数は減ってきていますが、30~40代男性の約4割はいまだに、習慣的に喫煙しています(厚生労働省「平成29年国民健康・栄養調査結果の概要」)。

喫煙は主な生活習慣病に共通する危険因子です。がんでは、肺がんを筆頭に喉頭がん、食道がん、胃がん、膵臓(すいぞう)がん、子宮頸がんなどとの関連が確実視されています。循環器疾患では、突然死に直結する虚血性心疾患(心筋梗塞や虚血性心不全など)以外にも、要介護に陥りやすい脳卒中なども、喫煙によって起こりやすくなります。ほかに、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器系疾患、2型糖尿病、歯周病なども確実に喫煙と関連があることがわかっています。

これらの影響により、日本では年間約12.9万人もの人が喫煙で亡くなっていると推計されています(がん死亡7.7万人、循環器疾患死亡3.3万人、呼吸器系疾患死亡1.8万人)。これは日本人の年間全死亡者数の約1割にも及びます。

特に、メタボ(メタボリックシンドローム、内臓脂肪型肥満)の人やメタボ予備群の人は、まず禁煙することが重要です。喫煙とメタボが重なると、メタボだけの場合よりも循環器疾患の発症リスクが高くなることが明らかになっています。また、職場の健診受診者を対象にした追跡研究では、喫煙本数が多いほどメタボの発症リスクが高まることが報告されています。

受動喫煙でも約1.5万人が死亡。加熱式たばこも無害ではない

もちろん、自らたばこを吸う能動喫煙だけでなく、周囲の人に対する受動喫煙(自らは喫煙しないのにたばこの煙を吸わされてしまう)の健康影響も甚大です。受動喫煙でも、年間約1.5万人が亡くなっていると推計されています。

近年、たばこの葉を燃焼させずに加熱して吸引する加熱式たばこを吸う人をよく見かけるようになりました。その理由として「周囲への影響を考えて加熱式たばこにした」という声を聞くことがあります。確かに、加熱式たばこの主流煙(喫煙者が直接吸い込む煙)に含まれる主な発がん物質の含有量は紙巻きたばこより少ないという報告がありますが、紙巻きたばこと同程度のニコチンを含む製品もあるようです。また、加熱式たばこは、販売されてから時間がそれほど経過しておらず、これまでの研究蓄積から受動喫煙の将来の影響を予測することはまだ難しいといわれています。

そのため、今年(2018年)7月に成立した改正健康増進法(健康増進法の一部を改正する法律)では、加熱式たばこも含めて「原則屋内禁煙」とされています。

紙巻きたばこと比較すると、本人や周囲への影響が少ないことが考えられますが、加熱式たばこに転向した人も、将来的には禁煙をめざしてほしいものです。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。