文字サイズ

“小太り”維持で長生き? メタボの60代は、きちんと食べて体を動かそう

“小太り”維持で長生き? メタボの60代は、きちんと食べて体を動かそう

 太り気味でメタボリックシンドローム(以下メタボ)が心配な人でも、高齢期に入ったら低栄養にも注意が必要です。心身が弱って要介護になりやすい「フレイル」の危険が高まるからです。食事はたんぱく質を積極的に摂るようにし、減量には運動を優先しましょう。

新しい健診・保健指導プログラムでも低栄養対策に言及

メタボに着目して2008年から始まった生活習慣病対策では、内臓脂肪の蓄積を防ぐために、栄養の摂り過ぎに注意することが唱えられています。しかし、高齢期に入っても栄養の摂り過ぎばかりを気にしていると、必要な栄養素が足りない「低栄養」状態になってしまい、やがて体力が衰えて「フレイル」に陥る危険があります。

フレイルとは、加齢とともに心身の機能が低下し、健康な状態と要介護状態の中間にある状態のことで、日本老年医学会が提唱した概念です。フレイルのままでは、将来的に要介護状態になるリスクが高まると指摘されています。

2018年度からの健診・保健指導プログラムでも、メタボ対策からフレイルやロコモティブシンドローム(ロコモ、「早くからのロコモ対策で、いつまでも自分の足で歩こう!」参照)に対策の重点を移す必要性が述べられています。

太り気味の人のなかに“隠れ低栄養”も。たんぱく質を積極的に摂ろう

低栄養とは、体をつくるたんぱく質や活動のためのエネルギー量が不足している状態で、太り気味の人でも“隠れ低栄養”になっていることがあります。特に、糖質の多いものをよく食べる、歯や歯肉に問題が出てきて硬い食材や線維質の多い食材を避けるなどの偏食傾向がある、というような人は、たんぱく質のほか、ビタミンやミネラルなども不足している場合があるので要注意です。

偏食を避け、肉、魚、卵、乳製品などのたんぱく質食品を、できるだけまんべんなく、積極的に摂るようにしましょう。50歳以上に推奨される1日のたんぱく質量は男性60g、女性50gですが、食品ごとのたんぱく質量を把握するのは難しいものです。「手ばかり」を参考に、1日に、手のひらに乗るサイズの肉・魚・豆腐・卵をそれぞれ食べることを目標とするとよいでしょう。太り気味の人は、脂質の多い部位の肉や、加工肉の摂り過ぎに注意することも大切です。

また、野菜や果物、海藻類などでビタミン、ミネラルも補うことも心がけましょう。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。