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65歳以上の6人に1人は低栄養! 食生活に注意し、筋力維持でフレイル予防

65歳以上の6人に1人は低栄養! 食生活に注意し、筋力維持でフレイル予防

 前回のこのコーナーでは、高齢期にはメタボ対策よりも「フレイル」対策が重要であることを紹介しました。低栄養気味であったり、加齢や病気により筋力が低下すると活動しにくくなり、外出や人との交流が減って「フレイル」に……。筋力維持を心がけること、兆候に早めに気づくことが大切です。

フレイルには、サルコペニアも大きく影響している

フレイルとは、加齢に伴って心身が弱り、要支援や要介護の危険性が高い状態のことです。高齢期に、健康長寿を目指す=少しでも長く健康を維持して自立した生活を送るには、フレイルの兆候に気づき、できるだけ早く適切な対処を行うことが大切です。

フレイルの大きな要因となるのは、低栄養と「サルコペニア」です。厚生労働省の「平成29年国民健康・栄養調査」では、65歳以上のほぼ6人に1人が低栄養(BMI20以下)の傾向にあると指摘されています。その背景としては、加齢とともに食べる量が減少することだけでなく、家族形態の変化、調理の手間、口腔機能の問題(「何でもよく噛んで食べられますか? 全身の健康を左右する『噛む力』」 参照)などのさまざまな理由があります。

一方、サルコペニアとは、加齢や慢性的な病気で筋肉量が減り筋力が低下した状態をいいます。脚の筋力が低下すれば、歩くのが遅くなり疲れやすくなって活動量は低下します。動かなければ必要なエネルギー量は少なくなり、食べる量が減ります。

こうしたことで慢性的な低栄養状態になると、サルコペニアがさらに進行し、筋力低下が進みます。そのため、外出したり人と会ったりすることがおっくうになり、動かないためにますます食事量も減るというフレイルの悪循環に陥ります。この悪循環をフレイルサイクルと呼んでいます。

先述の「平成29年国民健康・栄養調査」でも、外出回数が少ない高齢男性は、よく外出する人より約20%も低栄養傾向の割合が高いことがわかっています。

筋力低下からサルコペニアに気づく

フレイルサイクルは専門家の助けを借りて断ち切らないと、要介護状態になる危険性が高いとされており、サイクルにはまり込む前の対策が重要です。まず、以下のような点をチェックして、サルコペニアを見逃さないようにしましょう。

  • 歩くのが遅くなり、横断歩道を青信号のうちに渡り切れない
  • 階段をあまり使わなくなり、手すりがないと上り下りできない
  • 握力が低下してペットボトルや缶、ビンのふたが開けられないことがある

また、実際に筋肉量が減っているかどうかを自分で確かめられる「指わっかテスト」という方法もあります。


(飯島勝矢ほか、東京大学高齢社会総合研究機構資料より作成)

(1)はサルコペニアの危険度は低く、右に行くほど筋肉量が減っている可能性があり、(3)はサルコペニアになっている恐れがあります。

上記に加え、体重が減った(1年間に4~5kg)/疲れやすくなった/体を動かすことが少なくなった(外出しなくなった)――などの項目で複数に当てはまる場合は、フレイルの危険性が高いので、要注意です。

荒木 葉子 先生

監修者 荒木 葉子 先生 (産業医・内科医 荒木労働衛生コンサルタント事務所所長)
慶應義塾大学医学部卒業後、内科・血液内科専攻。カリフォルニア大学サンフランシスコ校留学。報知新聞社産業医、NTT東日本東京健康管理センタ所長を経て、現在荒木労働衛生コンサルタント事務所所長。内科専門医・産業医・労働衛生コンサルタント。企業の労働衛生と半蔵門病院で内科診療を行う。主な著書に『臨床医が知っておきたい女性の診かたのエッセンス』(医学書院)、『働く女性たちのウェルネスブック』(慶應義塾大学出版会)など。