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不眠にうつが隠れていることも

不眠にうつが隠れていることも

最近、きちんと眠れていますか? 心と体の健康のために睡眠を見直してみましょう。また、近年、急激に「うつ病」の患者さんが増えていますが、うつ状態に陥っていても、本人が自覚しにくい場合が多く、家族や周りの人も気づきにくいことが少なくありません。そうしたなかで、うつの症状でもっとも自覚しやすいのが「不眠」の症状なのです。

心と体に大切な睡眠 …「眠れない」を放置しないで

不眠不休でがんばるのが美徳、とばかりに日本人の平均睡眠時間は短くなる傾向にあります。さらに、日本人の5人に1人は睡眠についてなんらかの問題を抱えているともいわれています。睡眠は、心と体の疲労を回復し、健康を維持増進するためには不可欠なものです。眠れないときは、まず、リラックス。次のような方法を試してみましょう。

また、毎日できるだけ一定の時間に起床して、朝日を浴びるようにしたり、夕食は軽めにし、寝る3時間くらい前には食事を済ませておく、寝る4時間くらい前からはカフェインの入った飲み物はとらないようにするなど、生活習慣を見直すのもよいでしょう。

眠れないときの対処法

  • 光が刺激になって眠れなくなることもあるので、就寝前は部屋を暗めにする
  • 心が落ち着くような音楽をかける
  • 眠りを誘う効果のあるハーブティーやミルクなどを飲んだりする
  • 40℃くらいのぬるめのお湯にゆったりつかる
  • からだをほぐすストレッチをする など

「眠れない」状態が続いたら専門家のサポートを考慮

こうしたことを心がけても眠れず、日中の活動に支障を来すようなら、専門家の力を借りたほうがよいでしょう。かかりつけ医でもよいですし、眠れないときに相談窓口となってくれるのが、睡眠障害専門の外来や精神科、心療内科などです。眠れない原因を突き止めて、ふさわしい治療薬を使いながら、生活改善をしていくことになります。

前述のように、不眠の原因にうつ病が隠れていることが少なくありません。不眠で受診する約半数に、うつ病が関係しているともいわれます。不眠はうつの症状の1つでもあり、反対に睡眠不足が不安やイライラなどの原因となり、うつを引き起こすともいわれています。うつは、だれでもかかることのある病気ではありますが、こじれると治療が難しくなったり、自殺の誘因にもなりかねない、あなどれない状態です。また、うつに不眠が合併していると、自殺のリスクが増すという統計もあります。

うつによる不眠の主な症状を下に挙げました。いずれにしろ、眠れないときは、心と体がアラームを発動していると考えて、放置せずに、早めに対処することが望まれます。

こんな症状があったらうつ病による不眠かも

 朝起きても疲れがとれていない
 眠れなかった次の日は、仕事や家事などやる気が起きない
 眠れなくなってから、物事が楽しくない
 眠れなくなってから、食欲がない
 不眠とともに、頭痛や胃の不調、動悸、めまいなど体の不調がある

これら5つのうち、3つ以上あてはまる場合は、うつによって不眠が起きているのかもしれません。2週間以上こうした状態が続くときは、早めに受診したほうがよいでしょう。

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。