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腹式呼吸で、心と体のリラックス

腹式呼吸で、心と体のリラックス

 座禅やヨガで行う「丹田」を意識した腹式呼吸には、副交感神経の働きを促して、心と体をリラックスさせる効果があるといわれています。また、カラオケで歌うことも、腹式呼吸効果が得られます。自分に合った方法で、腹式呼吸をとり入れてみませんか。

深い呼吸は心と体も調える

 最近、お寺でライブイベントやカフェなどが催されたり、心の相談を受け付けでくれたりするところもあるようです。人との交流や写経や座禅などの体験を通して、年代を超えて、古くて新しい心の癒しを得られる場所となっているのかもしれません。
 実は座禅で行う「丹田(たんでん)呼吸」という呼吸法のリラックス効果は、生理学的にもある程度、実証されています。丹田(おへその下)を意識した、ゆっくりとした呼吸は、肺に取り込む酸素の量を増やして、血流をよくしたり、体をリラックスさせる副交感神経の働きを促します。また、こうした呼吸によって、「心の安定」を司るといわれる脳内物質「セロトニン」の分泌が促されるともいわれています。イライラやゆううつな気分を和らげる働きも期待できます。ヨガの呼吸法も同様です。

カラオケで歌うことも、腹式呼吸効果に

 会社帰りにカラオケで思い切り歌ったら、すっかりリフレッシュした――という経験のある人もいるでしょう。カラオケがストレス解消となる理由の1つに、座禅と同様に「呼吸法」が挙げられます。ワンフレーズをなめらかに感情がこもるように歌うには、なるべく大きく息継ぎをして、吸った息をゆっくり吐き出す必要があります。つまり、深くゆっくりとした呼吸です。普段の呼吸が1分間に15~20回とすると、歌っているときは、1分間に10回程度。さらに、おなかを意識した複式呼吸で歌えば、まさに座禅の丹田呼吸に近い効果が期待できることになります。
 歌を歌うと自己表現にもつながり、コミュニケーションが苦手な人でも、人に歌を聴いてもらい、認めてもらうことで、心が解放される効果もあるでしょう。ただし、人の歌はきちんと聴き、惜しみなく拍手を送るようにするのがマナーです。  座禅とカラオケ、意外な共通点と効果があります。自分に合うものを試してみるとよいでしょう。

やってみよう 丹田呼吸法

 椅子にかけて行う方法を紹介します。実際に座禅するとよいのですが、まずは、心がけて深い呼吸をすることから始めましょう。生活のなかで気がついたとき、2~3回ずつでも行うのがおすすめです。
(1)リラックスして、へその下に手を当て、目は軽く閉じる
(2)口から(慣れてきたら鼻から)息をフーっと履き、へその下をへこませる
(3)息を吐ききったときに、鼻から息を吸いへその下をゆるめ、自然に膨らませる
※息を吐ききったときに、自然とへその下が膨らんでくるのを感じるようにする

山本 晴義 先生

監修者 山本 晴義 先生 (医学博士 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長
神奈川産業保健総合支援センター相談員 埼玉学園大学大学院客員教授)
1972年東北大学医学部卒業、1991年横浜労災病院心療内科部長、2001年より横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。日本心療内科学会監事・専門医、日本産業ストレス学会理事、日本産業精神保健学会評議員、日本心身医学会評議員、日本職業災害医学会評議員。厚生労働省ポータルサイト「こころの耳」委員。著書は『ストレス一日決算主義』(NHK出版)、『初任者・職場管理者のためのメンタルヘルス対策の本』(労務行政)、『ビジネスマンの心の病気がわかる本』(講談社)、『ストレス教室』『働く人のメンタルヘルス教室』『メンタルサポート教室』(新興医学出版社)、『ドクター山本のメール相談事例集』(労働調査会)、『図解 やさしくわかる うつ病からの職場復帰』(ナツメ社)など多数。また、DVD『Dr.山本晴義の実戦!心療内科』(全2巻、ケアネット)、『元気な職場をつくるメンタルヘルス』(全12巻、アスパクリエイト)、CD『予防のための音楽「うつ」』(デラ)なども監修している。